「育成就労って何?」
「技能実習はなくなる?」
「どんな制度なの?」
本当に働いてくれる人がいない…。
近年、人手不足が深刻化する日本。
外国人労働者の受け入れが注目されていますよね。
その中で、「育成就労」という新しい制度が導入されました。
この制度は、従来の「技能実習」制度と何が違うのでしょうか?
今回は、行政書士という視点から、両制度の違いをわかりやすく解説していきます。
技能実習制度と育成就労制度の違い
前提として、技能実習制度と育成就労制度は全然違った制度となります。
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育成就労は具体的に何が違うのか【グラフで理解】
まずは図で概要を示します。
項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
---|---|---|
目的 | 開発途上国への技術移転(国際貢献) | 日本国内の人材確保・育成 |
対象職種 | 91職種167作業 | 特定技能と原則同じ(現12分野) |
在留期間 | 最長5年 | 3年 |
日本語能力 | 職種により異なる | 日本語能力試験N5レベル以上 |
転職 | 原則不可 | 一定条件下で可能 |
その後 | 技能実習2号、3号へ | 特定技能へ |
特定技能は詳しくはこちら:法務省 特定技能1号 各分野
制度変更の背景と目的
技能実習制度は、悪質な事例も多発し、制度の目的から外れた運用が行われているとの批判もありました。
より厳格な管理体制のもと、日本の人材不足に対応するために、育成就労制度が導入されました。
深刻な労働力不足
もちろん日本の都合という部分もあると思います。
より簡潔に言えば、育成就労は「特定技能になってもらうための前段階」として整備された側面があります。
これは言い換えれば、日本により長くいてくれる労働力が欲しい、とも読み取れます。
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技能実習は廃止され、育成就労になる
まだ育成就労制度は設立が決まっただけです。
具体的には2027年頃から育成就労制度が始まり、2030年頃には完全に技能実習から育成就労制度に変わっている予定が出されています。
監理団体は監理支援機関へ
また大きな特徴として監理団体制度が変更されたということがあります。
そもそも監理団体とは?
監理団体とは技能実習生を受け入れる企業のサポートをする団体です。
具体的には、技能実習生の募集や必要な手続き、受け入れ態勢を整えたりする団体となります。
要するに、企業からすれば技能実習生のこと全般を任せる団体という感じですね。
こちらは、非営利の法人のみがなることができます。
なぜ監理支援機関という名称になったか
監理支援機関という名称に変わっても、それほど業務の違いはありません。
雇用関係の調節、良好な就労制度のための環境整備等。
ただ、育成就労制度では監理支援機関以外に「外部監査人」という者を置く必要が生まれました。
実は、以前の監理団体制度では企業と一体化している、あるいはあまりにも企業よりの団体が多く技能実習制度がうまく機能していないという問題があったようです。
そのため、監理団体はあくまでも監理(監査や保護)のサポートをする支援機関とし、それ以外に客観的に監査ができる外部監査人を置く義務が生まれたのです。
やはり育成就労は「就労」のための制度
こうしてある程度まとめてみるだけでも、育成就労が人材確保のために設計された制度であることがわかります。
技能実習とは違い、国際貢献という名目もないため、より監査も厳しくなります。
下手したら、都合のいい労働力の搾取と非難されかねない制度となるから、運用は慎重になるでしょう。
(日本は今まで、かたくなに外国人の単純労働を認めてきませんでした)
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育成就労制度が本格的に始まる前に確認しておこう
育成就労制度は、技能実習制度から大きく目的が転換しています。
そもそも外国人の労働力確保を目指した制度です。
企業の負担は増える?
そのため多くのことが変わり、企業の負担も変わります。
特定技能に移行する際には、日本語能力や職務能力等、クリアしなければならない基準があります。
特定技能に移行するための教育などは受入企業に課されることになるようです。
となると、非常に負荷がかかることになります。
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必要ならば専門家に相談してみよう
たとえば「外国人材が必要」という場合も、それぞれのケースごとに様々な解決策があります。
さきほども述べたように、育成就労制度の場合教育の負荷がかかります。
育成就労制度で外国人を雇うよりも、いきなり日本語能力がある程度担保されている特定技能の外国人を雇った方がいい、という方もいると思います。
外国人材が必要な方は、ぜひとも専門家にご相談を。