仮想通貨仲介業とは? 交換業との違いを行政書士が解説

「仮想通貨仲介業って何?」

「なぜ設立されたの?」

「今までの交換業とはどう違うの?」

近年、注目を集めている仮想通貨。

新しく仮想通貨仲介業が設立されることになりました。

とはいえ、仮想通貨仲介業とはいったいなんなのでしょうか?

行政書士の立場から、この二つの違いをわかりやすく解説し、事業を始める際の参考にしていただければ幸いです。

仮想通貨仲介業とは?

仮想通貨仲介業は、いわば「仲人」のような役割を担う事業です。

その売買を希望するユーザー同士を繋ぎ、取引を円滑に進めるお手伝いをします。

その主な特徴

以下のことが主要なポイントになります。

  • 取引の当事者ではない: 仲介業者は、取引自体には直接関与せず、あくまで仲介役。
  • 資金の管理を行わない: ユーザー間の資金のやり取りは、ユーザー自身。
  • 規制が比較的緩い: 交換業に比べて規制が緩いため、参入障壁が低い(社会的責任がそこまで重くない)。

仮想通貨仲介業の目的は?

おそらくですが、仮想通貨仲介業が設立された背景として、これから発展していく事業の関係があります。

具体的にはメタバースやゲームなどで人々がバーチャルな取引をする際の想定です。

その場合ゲーム側は、仮想通貨の売買というよりも仮想通貨を用いた取引の仲介役、というポジションになります。

つまりもう仮想通貨を持っていて、それを用いて取引をする、という前提の制度になります。

結構未来的な話に思えますが、国が動いたということはもうすぐそこまで来ています。

仮想通貨交換業とは? 仮想通貨仲介業とは別物

端的に言えば、ユーザーから仮想通貨を買い取り、別のユーザーに売却する事業です。

イメージ的には、コインチェックなどの取引所を連想してもらえればと思います。

新しく仮想通貨が欲しい、というときに必要になるのが交換業です。

その主な特徴

では交換業ではどんなことが特徴的なのでしょうか。

  • 取引の当事者となる: 交換業者は、取引の両面に関与し、自らのリスクで仮想通貨を保有。
  • 資金の管理を行う: ユーザーから預かった資金を管理し、取引の決済をする。
  • 厳格な規制対象: 金融庁による登録が必要となり、資金決済法に基づいた厳しい規制が適用(社会的責任が重い)。

仲介業よりも、顧客や自身が抱えるリスクが非常に高いですよね。

実際、年度報告には公認会計士か監査法人の監査報告書も求められます。

そのくらいに金融リスクが高い業務になります。

(みなさまも、ビットコイン流出などのニュースは見たことがあると思います)

仮想通貨交換業の目的

仮想通貨交換業の目的は、端的には仮想通貨の流通です。

現在は仮想通貨そのものが欲しいというよりも、仮想通貨の投機的な側面(値段の乱高下)が注目されています。

ですから投資的な目的で利用されることが多く、交換業者もそれに即した形で運営しています。

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ただ、近いうち、それこそ交通系電子マネー(SUICA等)やWAONのように仮想通貨の通貨的な側面が必要で仮想通貨を買う(円と変える)人は増えるかもしれません。

仲介業の設立が、それをほのめかしているようにも思えます。

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両者の違いを比較

ふたつの違いをまとめていきます。

簡単に言えば、仲介業の方が責任は少ない

さきほども書いたように、仲介業は直接顧客の資産に関与する業務ではありません。

ですからリスクも少なく、当然社会的責任は軽いため、規制も少なくなります。

仮想通貨仲介業と交換業の違い:図解

項目仮想通貨仲介業仮想通貨交換業
役割ユーザー間の取引を仲介仮想通貨の売買
取引の当事者×
資金の管理×
規制比較的緩い厳格
参入障壁低い高い

行政書士がサポートできること

これから本格的にWeb3.0の時代となります。

DAO、NFT、仮想通貨、メタバース、等のより個人個人が自由かつ流動的になる分散型の世界が幕を開けます。

これからも新しい手続きは増えるでしょう

それに伴って産業の変化があり、産業の変化があれば法整備が行われます。

今回の仮想通貨交換業の設立も、まさにその一つでしょう。

まずは役割を認識し、必要な手続きを

仮想通貨仲介業と交換業は、その役割や規制が大きく異なります。

当然やるべきことも全然異なります。

事業を始める前に、まずは確認をしてメリットのある選択肢を取れるといいですよね。

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