
「育成就労において、営利法人(株式会社)としての関わり方を知りたい」
「行政書士は、どう関わっていく?」
「登録支援機関だけど、協同組合を創った方がいいのか?」
2027年施行予定の「育成就労制度」は、技能実習制度の問題点を是正する形で創設されます。
この制度変更により、これまで特定技能で活躍してきた登録支援機関の立ち位置は大きく変わります。
結論から言えば、
「単独プレイヤー」から「監理支援機関のパートナー」へと転換できるかどうかが、今後の事業の分岐点になると私は思っています。
本稿では、登録支援機関の今後の戦略と、行政書士としての関与のあり方を実務視点で整理します。
登録支援機関の立ち位置はどう変わるのか
まずは、登録支援機関とは何かを説明していきます。
登録支援機関=特定技能外国人の就労支援の(ほぼ)会社
特定技能外国人とは、要するに、
「ある程度技能を持って、現場で働く能力の高い外国人」
というくらいの感じです。
人手が足りない分野で、働いてくれる、即戦力の外国人。
しかし、現場作業なので、やはり搾取が起きやすいということで、
登録支援機関という入管から認められた会社が、面談したり、就労環境を整えたり、サポートしている、ということですね。
では、育成就労とは何か?
それと比較して育成就労は、
「まだまだ仕事を覚えている段階の人を教えている段階」
で与えられるビザです。
前までは技能実習と言われていましたが、制度も一新され、
特定技能になることを前提に、教育期間としての就労、という位置づけになります。
こちらも読みたい:技能実習と育成就労、何が違う?
当然、こちらの方が、低賃金になりやすいため、
制度として厳しく保護しています。
育成就労は監理支援機関という法人がサポートするのですが、これには外部監査人が必要だったり、さらには営利法人では許可を取得できなかったり、上の登録支援機関と比べてかなり規制が強いです。
この制度では、後述するように、この監理支援機関が民間側の申請やサポートで大きな役割を果たすことになります。
詳しくはこちら:出入国在留管理庁 育成就労
育成就労には、登録支援機関はノータッチとなるのか?
育成就労は、過去の技能実習とは違い、特定技能へと移行が前提の制度です。
となると、登録支援機関としても重要な制度のはずです。
実際に、育成就労制度では、登録支援機関もある程度関わることができ、
- 制度の中心:監理支援機関(許可制)
- 支援の実務:登録支援機関(委託先)
という構造になります。
そうです、業務の一部(主に日常的なフォローの部分で)において、
登録支援機関が委託を受けて関与することができるのです。
ここで重要なのは、
登録支援機関は制度上の「主体」ではなくなるという点です。
育成就労における監理支援機関と登録支援機関の業務分担
つまり、育成就労では、
- 契約主体:監理支援機関
- 実務担当:登録支援機関(委託)
という位置づけになります。
※もちろん、登録支援機関があえて関わるならば、というところになります。
つまり、登録支援機関は今後、
「仕事を取りに行く相手」が企業のほか、監理支援機関も、ということに変わるわけです。
こちらも読みたい:監理団体(技能実習)と登録支援機関(特定技能)との違い
今後の登録支援機関がしていくといいと思うこと
それでは、これから、登録支援機関がどのように立ち回るか、
ちょっと考えてみましょう。
① 監理支援機関とのアライアンス構築
育成就労制度において、最優先課題はここです。
登録支援機関単独では案件を直接受注できない以上、
- 監理支援機関と提携
- 支援業務を一括受託
- さらにはその後の特定技能の管理を受ける
というスキーム構築がやはり、よいでしょう。
特に新制度では監理支援機関の負担が増大するため、
- 多言語対応
- 生活支援
- 相談対応
を外部委託したいニーズは確実に発生します。
「外注される前提」で設計することが重要です。
② 「支援の質」で差別化する
制度上、支援業務は標準化されます。
その結果、価格競争に陥るリスクが高まります。
ここで差がつくのは、
- 定着率(離職・転籍の少なさ)
- トラブル対応力や実務力
- 日本語教育の仕組み
- キャリア支援(特定技能への移行支援)
です。
特に育成就労では転籍が認められるため、
「辞めさせない支援」ではなく「適切に動かす支援」
が求められる点は大きなパラダイムシフトです。
また、ビザ更新や変更の手数料が上がるため、いかに無駄なビザ申請をなくすことができるか、ということも重要です。
③ 「転籍支援」をビジネス化する
新制度最大の特徴が転籍の制度化です。
これは裏を返せば、
- マッチング
- キャリア相談
- 条件交渉サポート
といった領域が新たな市場になることを意味します。
登録支援機関は、
- 外国人側のニーズ把握
- 企業情報の蓄積
という強みを持つため、人材エージェント的な機能へ拡張できるかが重要になります。
行政書士はどう関与する?
では、この変化の中で行政書士はどう動くべきでしょうか。
結論は明確で、
「制度設計・書類」と「プレイヤー間の接続」の両方を担うポジションを取るべきです。
① 監理支援機関の立ち上げ支援
育成就労制度では監理支援機関が許可制となるため、
- 許可申請
- 事業計画作成
- 体制整備
- 協同組合の設立
といった支援ニーズが確実に発生します。
いわゆる許認可です。
これは行政書士の王道業務です。
② 登録支援機関とのハブになる
現場的には、
- 監理支援機関
- 登録支援機関
- 受入企業
の間で情報の非対称性が生まれます。
ここで行政書士が、
- 適法なスキーム設計
- 契約関係の整理
- 業務分担の明確化
を担うことで、
「コーディネーター」、あるいは状況によっては「顧問」としての価値が出るようになると思っています。
特に、令和8年1月の行政書士法の改正で、「登録支援機関が在留資格の申請書類を作ることはできない」ということが決定づけられました。
これは、行政書士が顧問で入ることができる可能性が高まった、と言えます。
③ 転籍・在留資格の専門家として関与
転籍が制度化されると、
- 在留資格変更
- 要件適合性判断
- 理由書作成
といった業務が増加します。
特に、
- 不適切な転籍
- 名ばかり転籍
は入管リスクが高いため、
法的リスクコントロールの専門家としての関与余地は非常に大きいです。
こちらも相談役や顧問に近いですね。
④ 「支援の見える化」を商品化する
もう一歩踏み込むと、
- 支援記録の整備
- 面談記録のフォーマット化
- コンプライアンス体制構築
といった部分もニーズが出ます。
これは単なる書類作成ではなく、運用の土台を売るということになります。
育成就労は、専門家全員で取り組んでいこう
育成就労制度において、
- 登録支援機関は実務パートナーへ
- 行政書士は制度に関する顧問へ
と役割が進化すると考えています。
この変化をチャンスにできるかどうかは、
- 監理支援機関との関係構築
- 支援の質の高度化
- 制度理解の深さ
にかかっています。
単なる制度対応ではなく、
「誰と組み、どこで価値を出すか」まで設計することが、これからの生存戦略だと感じました。
それでは。