
「外国人が、マイナンバーカードだけで滞在OKになるのって本当?」
「在留カードを持たなくてよくなる?」
「でもそれ、具体的にどんなメリットがあるの?」
政府は、外国人住民の本人確認の効率化と行政DXの促進を目的として、マイナンバーカードと在留カードの一体化を進めています。
これにより、外国人の身分証明書が一本化され、行政手続・民間手続の双方に大きな変化が生じる見込みです。
本コラムでは、行政書士事務所として、押さえておくべき制度の方向性、実務への影響、企業・外国人が注意すべき点を整理します。
ぜひとも、ご高覧ください。
【特定在留カード】マイナンバー&在留カード、一体化の目的と背景
かなり大きな運用上の変化ですが、それに至った背景を考えていきましょう。
(1) 本人確認書類の一本化
現在、外国人は、
- 在留カード
- マイナンバーカード(希望者)
- パスポート
など複数の本人確認書類を状況に応じて使い分けています。
一体化後は、1枚で在留資格・個人番号・本人情報を確認できるカードが想定され、窓口・オンライン手続の双方で利便性が向上します。
要するに、「別に分けて持たなくてもいいんじゃ…」という話になっているということですね。笑
(2) デジタル社会に向けた行政効率化
マイナンバー制度を軸としたデジタル本人確認を広げるため、証明書の統合が必要となります。
今までばらばらだったものを電子上の情報で統一し、申請手続や行政による確認の効率性が上がります。
それは行政の手続スピードが速くなったり、必要書類が少なくなったり、
そして、窓口まで行っていたものがオンラインで申請できたり、
私たち民間人としても、ありがたいものです。
(3) 偽造防止・不正利用対策
在留カードの偽造問題への対策として、ICチップ搭載のマイナンバーカードとの統合は大きな効果が期待されます。
更には、税務や社会保険の情報との紐づけにより、不正な申請も減らすことができます。
マイナンバーカードと在留カードの一体化で変わること
それでは、どのように変わっていくのでしょうか。
(1) 1枚のカードに情報を集約
統合後のカードには以下の情報が搭載される見込みです。
- 在留資格(例:技術・人文知識・国際業務 等)
- 在留期間
- 就労可否
- 個人番号(マイナンバー)
- 氏名・住所等の基本情報
外国人にとっては、携帯契約・銀行口座開設なども1枚で完結するようになります。
(2) 更新・交付手続の連携強化
現在は、
- マイナンバーカード:市区町村
- 在留カード:出入国在留管理庁
のように申請先が分かれていますが、一体化後は両機関が情報を連携して交付する仕組みが導入される方向です。
たとえば、行政書士が入管手続きを支援する際、書類構成や申請プロセスが変更される可能性があります。
より正確に言えば、入管が確認できる情報が増えることにより、
必要書類が少なくなっていく方向になるでしょう。
これは外国人&行政書士にとっては朗報ですね。
(3) 民間手続のDXが加速
カード一体化により、企業の本人確認、雇用時の在留資格確認も効率化が期待されます。
他にも、上で書いたように、外国人がインフラ等を契約する際にマイナンバーのみで完結できる可能性が高いです。
入管業務として、押さえておくべき実務ポイント
上のような状況は、好ましいものですが、実務においては更なる注意点が生まれることも想定されます。
(1) 本人確認の迅速化
申請取次時の身分確認が1枚で完結するため、書類チェックが簡素化される予定です。
ただし、過渡期は旧制度のカードが混在するため、確認方法の整理が必要です。
必ず最初は入管やその他行政機関に「これでいいのか?」と一言チェックを取るようにした方がいいでしょう。
(2) 更新期限や取扱ルールの変更
在留カードとマイナンバーカードでは更新制度が異なります。
統合後は更新期限のルールが再整理される可能性が高く、顧客への注意喚起が重要となります。
マイナンバーの期限と在留カードの期限がごちゃごちゃになり、在留期限を過ぎてしまった…、
なんてことになったら、本当に大変なことになります。
もちろん、カードの有効期限と在留期限が原則同じ記載、という運用になるとは思いますが…。
(3) 外国人雇用企業への確認も不可欠に
統合後は、在留資格確認の方法やICチップ読取の必要性など、企業側の運用が変わる可能性があります。
上記⑵で書いたように、企業の担当としても、慣れていなければ他のカードを混同してしまう可能性もあります。
そのため、最初は以下のような管理を、特に注意してやっていくことになります。
- 一体化カードの管理方法
- 在留資格情報の確認手続
- 雇用契約締結前の適法性チェック
とはいえ、基本的には従前の在留カードに近いため、それほど気を使う必要はないと思います。

詳しくはこちら:入管庁 特定在留カード
⑷取得は任意
取得は任意ですので、当然に発行されるわけではありません。
申請をして発行されるものです。
また、当たり前ですが、中長期滞在者(短期滞在ではない=4カ月以上滞在し、住民登録がされている者)にしか発行されません。
こちらも読みたい:短期滞在から配偶者ビザに変更できるか?
メリット・デメリットの整理
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| メリット | ・身分証明書が一本化され、持ち歩きが容易になる ・行政手続や各種契約がスムーズになる(銀行・携帯・賃貸など) ・オンライン本人確認が簡便になり、利便性が大幅に向上 |
| デメリット | ・情報が集約されるため、紛失時のリスクが大きくなる ・制度移行期は複雑化し、外国人・企業ともに誤解が生じやすい ・企業側は個人情報保護の観点から管理体制の強化が必要 ・制度移行期の誤りやトラブル防止のため、行政書士による管理がおすすめ |
FAQ~質問~
質問をまとめていきます。
Q1. 特定在留カードを使わないと困りますか?
A. 特定在留カードは「使っても使わなくてもよい」カードです。
使わないことで法律上の不利益はありません。
ただし、
・身分証明書が2枚必要になる場面が残る
・マイナンバーカードだけ更新し忘れることがある
といった面倒が起きやすいので、手続を1つにまとめたい人には便利です。
Q2. 海外に行くときは特定在留カードだけでいいですか?
A. 特定在留カードだけでは出入国はできません。
必ずパスポートが必要です。
日本に戻るときは、
・パスポート
・特定在留カード
の2つを見せる必要があります。航空会社が追加の書類を求めることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
Q3. 会社は特定在留カードについて何か特別な対応が必要ですか?
A. 基本的な確認(在留資格や在留期間をチェックすること)は今までと同じです。
ただし、1枚のカードに多くの情報が入るため、会社は次の点に気を付ける必要があります。
・在留資格の確認とマイナンバーの扱いを、目的に応じて使い分ける
・カードのコピーを取る場合は、なるべく必要な部分だけにする
・退職などのタイミングで、情報を正しく扱うルールを決めておく
制度が新しいため、会社側が誤った対応をしないように行政書士がサポートできます。
こちらも読みたい:外国人材と労働法上のポイント
便利な特定在留カード、利用してみてはいかが?
マイナンバーカードと在留カードの一体化は、
外国人手続・行政DX・本人確認の仕組みを大きく変える制度改革です。
行政書士は、外国人本人だけでなく企業からの問い合わせにも備え、制度理解と実務対応を早期に整えておく必要があります。
当事務所では、在留手続(申請取次)から外国人雇用の法務サポートまで、制度改正を見据えた支援をご提供しています。
制度の詳細や個別案件の相談にも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。