
「国際結婚をしたいけれど、どんな風に進めればいい?」
「結婚以外に必要な手続きはあるの?」
「どんなことに注意をすればいいのだろう?」
近年、日本で国際結婚をするカップルは増えています。
ただし、日本人同士の結婚とは違い、国際結婚には国籍や法律の違いに基づく独自の手続きが必要です。
更には、国際結婚の後にビザの申請も必要になります。
そのため、かなり複雑に思える人も多いと思います。
この記事では、日本で国際結婚をする場合の流れや必要書類について、わかりやすく解説します。
国際結婚の基本的な流れ
国際結婚では 「日本法の手続き」と「相手国法の手続き」 の両方を考慮しなければなりません。主な流れは以下の通りです。
- 日本で婚姻届を提出
日本の市区町村役場で婚姻届を受理してもらう。 - 相手国の法律に基づく婚姻手続き
大使館・領事館や本国の役所に婚姻の報告・登録を行う。 - 在留資格(ビザ)の申請
外国人配偶者が日本に住む場合、「日本人の配偶者等」の在留資格が必要。
もちろん、日本で先に婚姻を成立させても、相手国で先に婚姻を成立させても、どちらでも構いません。
手続き的にどちらが早いか、あるいはやりやすいか、という部分で判断をすればいいと思います。
わからない場合は、専門家に相談だけでもしてみるといいかもしれませんね。
おさえておくべきポイントは?
国際結婚の流れの中でおさえておくべきなのは、
- 結婚要件具備証明書が取れるか?
- 各国ごとに違いますが、必要な手続きは何か?
- 相手国まで行く必要があるか?(在日公館で手続きが済むケースもあります)
- そもそも、相手国に結婚を報告する必要はあるか?(アメリカ等、日本で結婚が成立したら、アメリカの方でも自動で有効になり、特に報告が要らないケースもあります)
といった感じです。
手間取るのは、結婚要件具備証明書(この人は国の法律的に結婚ができますよという証明書)でしょう。
逆に言えば、それさえ取れてしまえば、それほど大変なものでもありません。
日本で婚姻届を出す際に必要な書類
日本人配偶者と外国人配偶者で必要書類が異なります。
日本人側の必要書類
- 婚姻届
- 戸籍謄本(本籍地以外の役所に提出する場合)
- 印鑑(署名捺印が必要な自治体の場合)
外国人側の必要書類
- パスポート
- 出生証明書(国によっては不要な場合あり)
- 婚姻要件具備証明書(その国の法律で結婚できることを証明する書類)
- 上記書類の日本語訳
※提出書類は国ごとに異なるため、事前に相手国の大使館・領事館で確認するのが必須です。
相手国での手続き
日本で婚姻届が受理されても、相手国で有効とされるとは限りません。
相手国の法律に基づき、以下のような手続きが必要です。
- 日本での婚姻証明を本国に報告する
- 必要に応じて「婚姻証明書」の翻訳・認証を提出する
- 一部の国では在日大使館・領事館に届け出れば完了する場合もあり
また、国によっては、婚姻証明書に ①日本の外務省の認証 ②当該国の在日公館の認証 の二つが必要になることがあります。
どこまで求められるかはその国によってかなり違いますから、かならず相手国の大使館、領事館などで確認してみましょう。
外国人配偶者が日本で暮らす場合のビザ手続き
結婚後、日本に住むには在留資格「日本人の配偶者等」の申請が必要です。
入管の正式ページ:出入国在留管理庁 日本人の配偶者等
主な必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(4cm × 3cm)
- 配偶者ビザ専用の質問書
- 日本人配偶者の戸籍謄本
- 相手国の結婚証明書(及びその翻訳文)
- 外国人配偶者の履歴書
- 外国人配偶者の学歴を証する書面
- 外国人配偶者の日本語能力を証する書面
- 身元保証書
- 配偶者の世帯全員の記載のある住民票の写し
- 生活費を払う方の収入や資産の証明(納税証明書や源泉徴収票)
- 日本人の在職証明書や会社案内
- 夫婦の写真や交際の経緯を説明する書類
- 住居の写真
- 住居の賃貸借契約書のコピー
- パスポートのコピー 等々
ここでの注意点
実は、国際結婚での鬼門はこのビザ申請となっています。
結婚自体は、要件を満たして、手続きを地道にやればすることができます。
しかしそれが入管に「ちゃんと実態のある結婚で、在留資格を与えてもいい」と認められるかは別です。
過去に日本に来ることが目的で、偽装結婚あるいは特に愛のない結婚をする外国人がたくさん出てきました。
当然それは、「在留資格を不当に取得する目的」だと入管には判断されました。
ですから、入管は配偶者等ビザに関しては目を光らせています。
具体的には以下のようなケースだと、結婚したとしても、ビザを取得する難易度が上がります。
ビザ申請の難易度が上がるパターン
- 結婚後、(単身赴任等が理由だとしても)別居する
- 離婚歴がある
- 出会いがマッチングアプリ等
- 交際から歴が浅い
- 日本在住の人ではなく、海外から結婚によって相手を呼び寄せる(在留資格認定証明書交付申請の場合)
- 日本にいる方の稼ぎが少なく仕事が不安定
- 年齢が離れている(具体的には10以上離れていると、かなり厳しいでしょう)
ビザ申請の難易度が下がるパターン
もちろん逆に、ビザが通りやすい事情というものもあります。
- 2人の間に子供がいて、子供は日本で生活している
- いわゆる西欧圏の人の場合
- 日本にいる人が経済的に安定している
なぜ西欧圏の方がビザ申請が通りやすいかというと、人種的な差別というよりも、
単純に、過去の事例では、西欧圏の人々が偽装結婚で日本に来る、という事例が少ないからです。
こちらも読みたい:ハーグ条約と子ども。国際結婚で知っておきたいこと
よくある質問(FAQ)
よくある質問をまとめていきます。
Q1. 外国人配偶者が観光ビザで来日中に結婚できますか?
A. 結婚自体は問題なく可能です。
ただし、観光から配偶者へのビザの変更は原則的に「やむを得ない事情(病気や子どもの面倒を見る等)」が必要になります。
基本的には、短期滞在から中長期ビザへの変更は認められていません。
ほかにも90日の短期滞在で来て、その間に在留資格認定証明書を申請し、その認定証明書を添付して変更申請をする方法もあります。
どちらにせよ、入管が想定している方法ではありません。
Q2. 婚姻要件具備証明書が取れない国もあると聞きましたが?
A. ミャンマーのように、婚姻要件具備証明書ではなく、公証弁護士によって独身証明書などが作成される国もあります。
ほかにも「宣誓供述書」など代替書類で対応できる場合があります。
婚姻要件具備証明書が取れない場合でも、国際結婚はできます。
個別具体的な対応は、大使館に相談してみてください。
Q3. 日本での婚姻手続きと相手国での手続き、どちらを先にすべきですか?
A. どちらでも構いませんが、どちらかの国で成立した結婚を後で報告する手続きの方が簡単です。
つまり、最初の手続きの方が大変ということになります。
筆者の感覚としましては、以下のように考えるとやりやすいです。
- 相手が海外にいる ⇒ 先に相手国で手続き
- 相手も日本にいる ⇒ 先に日本で手続き
ほか、相手国が日本において査証免除国(要するに旅行で日本に来る際に、ビザ申請が要らない国)かどうかを確認し、短期滞在で日本に来るのが簡単かどうかも確認しましょう。
査証免除国はこちらで確認:外務省 査証免除国・地域
国際結婚チェックリスト
- 相手国の大使館・領事館で必要書類を確認した
- 婚姻要件具備証明書を取得した
- 婚姻届を日本の役所に提出する準備ができた
- 書類の日本語訳を準備した
- 相手国での婚姻登録方法を確認した
- 在留資格(日本人の配偶者等)の申請準備をした(あるいは流れと必要書類を把握した)
意外とハードルが高い国際結婚
結婚自体は万人に認められた権利で、ユニバーサルですので、国際間でもよほどのことがない限り問題なく進めることができます。
しかし問題は、その後日本で一緒に暮らす場合です。
国際結婚は偽装結婚と疑われやすく、ビザ申請が厳しい分野です。
本当に、心から愛して、共に生きようと誓い結婚したとしても、認められない可能性もあります。
いずれにせよ、国際結婚は「日本の法律」と「相手国の法律」の両方に基づいて手続きを進めなければなりません。
そして、その後のビザ申請のことも考えながら、進めていく姿勢も大切です。
各国ごとに必要書類や流れが異なるため、必ず事前に大使館・領事館や行政書士に相談することをおすすめします。
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