
「永住許可って家族でできる?」
「その場合、どんな条件がある?」
「世帯主の年収はどれくらい欲しい?」
日本で長く生活し、家庭を築いている外国籍の方の多くが、
「いずれは永住ビザを取りたい」
と考えていると思います。
特に配偶者や子どもなど家族と一緒に永住を希望される場合、本人だけでなく家族全員についても一定の条件や書類準備が必要です。
このコラムでは、
- 永住許可取得の基本条件
- 家族の扱い
- 必要書類一覧
- 注意点
などなどを現場の視点から解説していきます。
こちらも読みたい:帰化と永住許可、何が違う?
まずは本人(主たる申請者)の永住条件をチェック
最初に行うべきなのは、本人(要するに世帯主)が、
永住権を取得できるかをチェックすることです。
永住権の取得に関する要件は以下のようになっています。
審査項目 | 内容 |
---|---|
在留年数 | 原則10年以上日本に滞在(うち5年以上は就労ビザ等)※配偶者ビザ:結婚3年以上+日本滞在1年以上でOK ※高度専門職:1年または3年で可 |
素行善良 | 税金・年金・保険料の滞納がない/交通違反が少ない/前科がない |
安定収入 | 原則 年収300万円以上(扶養家族が多い場合はそれ以上) |
納税状況 | 直近2〜3年分の納税証明書・社会保険料の納付記録が必要 |
日本在住実績 | 長期出国は少ない(海外に行く場合、1回90日以上、年間合計で180日以上だとかなり厳しい) |
高度専門職の問い合わせが多い
最近弊所では、高度専門職の方からの問い合わせが多いです。
正確には高度専門職でなくても、高度専門職のポイント計算表で、
- 70点以上 ⇒ 3年以上の滞在
- 80点以上 ⇒ 1年以上の滞在
というのが条件となっています。
高度専門職の方々は勉強熱心な方が多く「早く永住権が手に入るのでは?」と弊所に問い合わせしてくることが時々あります。
ポイント計算はこちら:高度専門職 ポイント計算表
税金関係は期日内に支払っているかもポイント
税金を払っているのは、永住申請においては当たり前のものとして考えられます。
問題は、「滞納していないか=期限内に払っているか」という部分になります。
配偶者と子どもの永住申請条件は?
それでは配偶者やその子どもはどうなるのでしょうか。
💍 配偶者の場合
- 永住者を申請する本人と legal marriage(法律婚)関係であること
- 日本での滞在歴は3年以上あれば望ましい(実体のある婚姻生活が3年以上必要であるため)
- 基本的には1年以上の滞在が必要
- 素行がよく、納税等の滞納がないこと(本人の収入に依存していてもOK)
👦 子どもの場合
- 原則:未成年かつ扶養を受けていること
- 日本の学校に通っているなど生活基盤が日本にあるとプラス評価
- 出生後すぐに日本で暮らしていると、年数は厳しく問われません
- 基本的には1年以上の滞在が必要
永住者の配偶者等である必要はあるか?
外国人の家族関係のビザでは、以下の二つがあります。
①永住者の配偶者等 | 永住者の配偶者や子どものビザ。先に世帯主が永住申請をしていると、家族はこちらの資格になる。(尊属を除く) 永住者と同じく就労制限なし。 |
②家族滞在 | 就労資格で来ている外国人の配偶者や子ども。こちらは、就労制限があり、働く場合は資格外活動許可が必要になる。 |
ふたつのうち ①永住者の配偶者等 の方が優遇はされます。
しかし、家族全員で永住申請をする際は、②家族滞在 の状態ですると思いますが、
その場合でも、年数などは普通に永住申請する場合に比べて優遇されます。
上に記載した条件で、申請をすることができます。
永住許可申請の必要書類一覧(家族申請同時)
※家族も申請対象の場合、それぞれの書類が必要になります。
✅ 本人(申請代表者)
本人に関しては以下のような書類が求められます。
所得や納税状況に関するものが多いですね。
- 永住許可申請書
- 理由書 ※行政書士が作成代行することが多いです。
- 写真(縦4cm×横3cm)※データでも可 裏面に氏名を記入して貼付します。
- パスポートおよび在留カードの写し
- 身元保証書 ※日本国籍の方が保証人になるのが望ましいです(単なる道義的責任にとどまります)
- 住民票 ※世帯全員分の記載があるもの
- 所得証明書および課税証明書(過去5年分)
- 納税証明書(過去5年分)
- 勤務証明書または在職証明書(会社員の場合)
- 営業許可証・確定申告書の写し(自営業者の場合) 開業届の写し、青色申告決算書や確定申告書など
- 居住状況に関する資料 ※賃貸契約書の写しや、自宅の写真、不動産登記謄本等。
- 経歴書・理由書・了解書
✅ 配偶者・子ども(家族)
配偶者や子どもに関しては、以下のような書類が求められることになります。
- 永住許可申請書(個別に)
- 写真(4cm×3cm) ※本人の場合と同じく
- パスポートと在留カードの写し ※本人の場合と同じく
- 在学証明書(子どもが学生の場合)
- 戸籍謄本(日本人配偶者の場合)または婚姻証明書・出生証明書(翻訳付) ※家族の関係を公的に証明する文書(国よって違うため、応相談)
⚠ 申請時の3つの注意点
以下の点に注意をしましょう。
1. 一家の「収入合算」はできない
配偶者も働いていて世帯収入が高くても、審査は「主たる申請者」(通常は夫)の年収が基準になります。
そもそも、家族滞在の場合は働くためのビザではないため、家族の収入をあてにした申請はできません。
2. 家族の滞在年数や素行も見られる
たとえば奥様が最近日本に来たばかりで在留歴が浅い場合、本人だけ先に永住を取り、家族は後から取る形になるケースも多いです。
3. 書類不備はほぼ不許可
書類が膨大になるため、チェック漏れがあると即不備通知 → 再申請になることも。
行政書士を活用するケースが多いのもこのためです。
永住許可は許可率50%くらいと言われていますが、
要件をしっかりと把握し、それを証明するための資料を適正にそろえていけば、
ちゃんと取れるビザとなっています。
よくある質問~FAQ~
よくいただく質問を書いていきます。
Q. 家族全員で一緒に永住申請するのと、本人だけ先にするのはどちらが良い?
➡ 本人の条件が揃っていれば先に本人だけ申請し、取れた後に家族を「永住者の配偶者等ビザ」で呼び寄せて永住申請する方法もスムーズです。
Q. 子どもが18歳を超えている場合は?
➡ 成人後は本人として独立審査されるため、収入などの要件も見られるのでご注意を。
Q. 年収300万円に届かない場合は?
➡ 高度専門職ポイントが70点以上ある、高額の預貯金がある、配偶者が高収入など、特殊ケースなら可能性があります。
申請前にプロに相談を。
Q. 被扶養者ひとりにつき何円くらい年収の加算が必要?
➡以前はひとりにつき+50万円と言われていましたが、物価高の影響で少し加算を増やした方がいいかな、と筆者としては考えています。
具体的には、+70万円以上で考えていくことをおすすめします。
被扶養者が2人なら、300万円 + 140万円 ⇒ 440万円くらいは下限で必要だと考えておきましょう。
感覚的には500万円くらいはあった方が安泰です。
チェックすべきは以下の事項。必要ならば行政書士にご相談を!
最後に今回のコラムの内容をまとめていきます。
自身の状況に合わせて、確認してみてください。
- 本人:原則10年在留+素行善良+安定収入+納税記録
- 家族:配偶者は3年以上の婚姻+1年以上の日本居住、素行、子どもは1年以上の居住、未成年・在学実績など
- 必要書類は個人ごとに提出が必要。とにかく多いので早めの準備が大事
- 年収、税金、年金の3点は最重要
永住申請はビザの中でもかなり難易度が高いです。
とにかく迷ったら専門家に相談して、着実に進めていくことをおすすめします。
コムーナ行政書士事務所でも、ご相談をお待ちしております。
お気軽にご連絡ください。
詳しくはこちら:出入国在留管理庁 永住許可