SSWビザ申請における「協議会」とは?

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「SSWビザで出てくる協議会って?」

「絶対に入る必要がある?」

「手続きや費用はどうなっている?」

近年、特定技能(SSW:Specified Skilled Worker)ビザを活用する企業が増えています。

人手不足の解消を目的としたこの制度は、外国人労働者を受け入れるうえで非常に有効ですが、

申請手続きのなかでよく出てくるのが「協議会」という言葉です。

では、この「協議会」とは一体何なのでしょうか?

そもそもSSWビザとは?

SSWビザとは、いわゆる特定技能ビザのことです。

特定技能ビザに関しては、ここでは本題ではありませんので、概要を述べる程度にしますが、

要するに、「法務大臣が認める人手が足りない分野での現場作業者のビザ」ということになります。

技能実習と違い、ある程度の技能や日本語力が求められる

技能実習(育成就労に変わりますが)は、名目上、日本に仕事を学びに来ている、というものでした。

(これから始まる育成就労においては、その前提も変わります)

しかし、特定技能においては、日本での現場作業者として、学びよりも労働に主眼が置かれています。

こちらも読みたい:技能実習から特定技能へ変更するには?

そのため、ある程度の基準を設けて、安易に来れないようになっています。

一般的には、

  • 働く業種で必要な技能検定の合格
  • 基礎的な日本語能力(JLPT N4レベル)

が求められます。

その他、特有な条件として「協議会」

そのほかにも特有な条件として、「協議会への加入」というものがあります。

本コラムでは、この協議会が何なのか、ということについて以下書いていきます。

「協議会」とは、業種ごとに設けられた業界団体のこと

SSWビザの対象となる分野は、介護、建設、外食、農業、宿泊など16業種(※)に分かれています。

そして、それぞれの業種には「分野別運用方針」に基づいて、

受け入れの健全性を担保するための業界団体、つまり「協議会」が設置されています。

この協議会は、主に以下の役割を担っています。

  • 外国人材の受け入れ状況の把握
  • 受け入れ企業のフォローアップ
  • 不正行為の監視や是正勧告
  • 技能試験や日本語試験の情報提供
  • 業界全体としての制度運営の改善提案

つまり、協議会はSSW制度を健全に運用するための「管理役」でもあるのです。

(下手をしたら、国際間での単純労働力の搾取とみなされる&労働環境悪化によって不法滞在者となる外国人を減らすため)

協議会への加入は必須?

SSWビザの申請を行う企業にとって重要なのが、「協議会への加入義務」です。

原則として、受け入れ企業は協議会に加入することが求められています。
加入していない場合、入管庁は申請を不許可にすることもあります。

(以前は申請後4ヵ月以内に加入すればよかったのですが、現在では協議会への事前加入が必須となっています)

分野ごとに協議会は異なる

この協議会は、それぞれの分野ごとに設置されています。

実際にその産業に詳しい団体が、その知識をもとに特定技能外国人を管理するためです。

中には、建設業のJACのように、費用がかかる団体もあります。

(原則的には、特にお金はかからないようになっています)

こちらも読みたい:JACとは?外国人材に建設業で働いてもらうなら

申請前に、必ず自業種の団体をチェックして、内容を確認してみましょう。

協議会加入の流れと必要書類

協議会への加入手続きは、分野ごとに異なりますが、一般的には以下の流れで進みます。

  1. 協議会の公式サイトから申請書類をダウンロード
  2. 必要事項を記入し、郵送またはオンラインで提出
  3. 審査を経て、会員として登録される

提出が求められる書類はどんなもの?

一例として、

  • 法人登記簿謄本
  • 受け入れ予定の外国人材の情報や在留カード
  • 就労条件書や雇用契約書(案)
  • 企業の就労環境や研修体制に関する説明書類
  • 1号特定技能外国人支援計画書

などが挙げられます。

ただし、これも協議会によって違うため、必ずその時に問い合わせて確認する方がいいでしょう。

加入後の義務

協議会に加入したあとは、定期的な報告や調査協力を求められることがあります。たとえば:

  • 受け入れ外国人の就労状況に関する報告
  • 不正の疑いがある場合のヒアリング対応
  • 法令遵守状況の確認

これは、制度全体の信頼性を維持するために重要な取り組みとされています。

行政書士として協議会加入サポートも可能

SSWビザを利用する企業にとって、「協議会」は単なる形式的な手続きではなく、

制度を円滑かつ適正に活用するための重要な存在です。

協議会への加入や報告義務を軽視すると、申請が不許可になることもあるため注意が必要です。

SSW制度を活用したい企業は、まず自社が該当する分野の協議会の内容を確認し、加入手続きを正しく進めましょう。

不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

弊所でも、

  • 協議会への加入手続
  • 相手国大使館へのデマンドレター(求人票)の認証手続

など、SSWビザに付随する手続きをサポートすることができます。

ぜひとも、お気軽にご連絡ください。


※:2025年時点での特定技能16分野は以下

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 工業製品製造業
  4. 建設業
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業
  13. 自動車運送業
  14. 鉄道
  15. 林業
  16. 木材産業

詳しくはこちら:特定技能 分野別情報

補足資料:協議会に関する情報

実際の申請に役立つ資料をまとめていきます。

ご自身の業界に合わせて、ご覧ください。

協議会の設置状況一覧(主要分野)

分野協議会名(例)加入義務備考
介護介護分野における特定技能協議会必須加入しないと申請不可
外食業食品産業特定技能協議会必須サイトからオンライン申請可
宿泊業宿泊分野特定技能協議会必須加入証明書の発行あり
建設建設技能人材機構(JAC)必須加入+事前審査が必要
農業農業特定技能協議会必須技能試験情報も提供
飲食料品製造業食品産業特定技能協議会必須分野別に細分化されている場合あり

※協議会の加入義務や申請方法は変更されることがあります。最新情報は必ず各協議会の公式サイトをご確認ください。

協議会に加入しないとどうなる?

加入が義務付けられている分野において協議会に未加入のまま申請すると、以下のリスクがあります:

  • 入国管理局から不備通知が届き、補正対応が必要になる
  • 補正期限に間に合わなければ「不許可」
  • 一度不許可になると、再申請の際に厳しく審査される傾向あり

よくあるトラブル事例

ケース原因対応策
協議会の申請を忘れてSSWを出したが不許可協議会加入証明書が提出できなかった申請前に加入完了と証明書取得を徹底
加入後も報告を怠って協議会から是正指導報告義務を怠り、制度の不適正利用と見なされた毎月・毎期の報告スケジュールを管理
協議会が複数あってどこに入るべきかわからない分野の解釈が曖昧だった事前に分野区分を行政書士に相談

【事前確認チェックリスト】

✅ 自社が該当するSSW分野を特定したか
✅ 該当分野の協議会が設置されているか確認したか
✅ 加入申請に必要な書類を準備したか
✅ 加入証明書の写しを申請書類に添付したか
✅ 加入後の報告義務・連絡義務について把握しているか

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