
「特定登録者カードって一体何?」
「Trusted Traveler Program(TTP)とは?」
「どんなメリットがあるのだろう?」
アフターコロナとなり、日本に来る外国人も増えてきています。
特にインバウンドの増加は、日本の産業においても大きな影響力があり、
日本として観光大国として今後も経済を発展させていきたいところだと思います。
ただ、実際、日本を頻繁に訪れる外国人にとって、空港での出入国審査は手間と時間がかかるものです。
そんな方々に向けて、日本の法務省が提供しているのが「特定登録者カード(Trusted Traveler Program:TTP)」という制度です。
今回は、
- 「特定登録者カードとは何か」
- 「どんなメリットがあるのか」
- 「申請の流れや注意点」
などわかりやすく解説していきます。
そもそも、特定登録者カード(TTPカード)とは?
特定登録者カードとは、日本の出入国管理庁(旧:入国管理局)が運用する「Trusted Traveler Program(TTP)」の認定者に交付されるカードです。
信頼を前提にした制度
上の英語を日本語に訳すと、「信頼できる旅客のプログラム」ということになります。
ですから後述するように、日本と信頼関係のある国同士でしか認められない、特権的な制度となっています。
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特定登録者カードを持っていると出入国が簡単に
この制度は、日本を頻繁に訪れる信用のおける外国人に対し、出入国審査を迅速に行うための特例的な措置です。
より具体的に言えば、特定登録者カードを持っていれば、
空港の自動化ゲート(顔認証や指紋認証)を利用してスムーズに出入国できるようになります。
(本カード表面の名称を英語名:Registered User Card for Automated gateを直訳すると「自動ゲート利用登録者」ということになります)
つまり、ほぼ入国手続きが要らない、ということになります。
特定登録者カード取得のメリットは?
特定登録者カードには、以下のようなメリットがあります。
確認していきましょう。
出入国時の自動化ゲート利用
長い審査列に並ぶことなく、スムーズに出入国できます。
これは上の方でも述べたことです。
渡航のたびに長時間の審査を受ける必要がなくなります。
信頼の証としてのステータス
日本政府から「特定登録者」として認定されたこと自体が、
信用性の高い人物であることの証明にもなります。
これは間接的に、のちに在留資格を取得するときなどに、役立つ可能性があります。
特定登録者カードの対象者・申請条件は?
まずは要件を確認していきましょう。
共通の条件
特定登録者カードを申請できるのは、以下の条件を満たす外国人に限られます。
- 査証免除国のパスポートを持っていること
- 商用、観光、親族訪問等の目的で短期間日本に滞在
- 退去強制や出国命令などの記録がなく、入国拒否歴もない
- 罰金以上の刑に処せられたことがない
- 入管から見ても、不適当と認められる事業がない
善良な外国人ならば、基本的にはこれらの要件を満たすことができるとは思います。
ただ、最初の「査証免除国」に関しては多少注意が必要です。
査証免除国とは、要するに短期滞在のビザ申請が要らなくなる国ですが、
免除国かどうかを確認するためには、外務省のホームページを見るのが一番確実です。
変わっていることもあるため、必ずチェックしましょう。
詳しくはこちら:外務省 査証免除国
個別の条件
それ以外にも、それぞれの来日目的に合わせてクリアすべき要件があります。
- ビジネスマン ⇒ ①一定要件に該当する企業・機関の役員又は常勤職員(在留期間は問わない) or ②一定要件に該当する日本の企業・機関からTTP登録の要望があるもの
- 観光客 ⇒ 国際ブランドのライセンスのあるプラチナクラス以上のクレジットカードを所持し、直近1年間に1回以上の来日
- 家族 ⇒ 上【ビジネスマン】または【観光客】TTP登録者の配偶者や未成年未婚の子(12歳以上が推奨される)
- 日米二国間渡航円滑化イニシアティブ利用者(JTTP) ⇒ 日米国土安全保障省税関・国土取締局(CBP)が実施するグローバル・エントリー・プログラムに登録しているアメリカ国籍者で、直近1年間に1回以上来日
それぞれに条件が違いますが、共通しているのは、
ある程度の事業規模の会社で働いていたり、ハイクラスなカードを持っていたり、
という社会的にステータスの高い人が対象となるということです。
特定登録者カード申請の流れ
カード取得にかかる流れも確認していきましょう。
オンライン申請
出入国在留管理庁が運営しているTTPの公式ページがあります。
そちらに行くと、「プレチェックを開始する」というボタンがあります。
そこで質問に答えていくと、自分が申請するカテゴリーに自動的にたどり着くようになっています。
(もちろん要件を満たしていない方は、申請できません)
書類提出、申請
パスポート、出入国履歴、在職証明や会社のことなど、
あるいはクレジットカードのことなど、
各カテゴリーごとに必要とされる書類が明示されます。
写真は必ず必要になります。
必要書類を添付したら、オンライン申請が終わります。
カード交付
大体1ヵ月くらいの期間審査があり、審査の末認められると、カードが交付されます。
許可通知が届いた後、指定された空港で特定登録者カードを受け取ります。
手数料は?
以前は2,200円でしたが、2025年7月現在は改定され、
4,000円の発行手数料がかかります。
登録可能な空港と有効期限
現在、以下の主要国際空港や入管で特定登録者カードの登録できます。
- 成田空港
- 羽田空港
- 中部空港(セントレア)
- 関西空港
- 東京入国管理局名古屋入国管理局
- 大阪入国管理局
自動ゲート利用ができるのは?
また、自動ゲートが利用できるのは、上記の主要空港となります。
つまり、成田、羽田、中部、関西、ということになります。
特定登録者カードの有効期限は?
カード交付の日から3年又は旅券の有効期間満了の日のいずれか早い日、です。
注意点・デメリットはないのか?
以下、注意点を挙げていきます。
- 審査が厳格 ⇒ 上でも書いたように、誰でも簡単に取得できる制度ではない。
- 期限の管理が必要 ⇒ 有効期限切れに注意し、更新のタイミングを逃さないようにしましょう(特にパスポートの有効期限に注意)。
- 紛失・盗難時の手続きが必要 ⇒ 速やかに登録した空港や入管に問い合わせて再交付の手続きをしましょう。その際は、手数料が2,000円かかります。
- 代理申請が不可 ⇒ こちらの特定登録者カードは代理申請が認められていません。
頻繁に日本へ来るなら特定登録者カードを検討してみては?
特定登録者カードは、日本との行き来が多い外国人にとって大きな利便性をもたらす制度です。
手続きには時間と準備が必要ですが、その分、渡航時のストレスが大きく軽減されます。
出張、ビジネス、学術、研究などで日本を訪れることが多い方は、このカードの申請をぜひ検討してみてください。
代理申請が認められてはいませんが、弊所でも可能な限りサポートはしていきます。
ぜひともお気軽に、ご相談ください。
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特定登録者カードに関する、よくある質問(FAQ)
最後によくある質問をまとめていきます。
Q1. 観光ビザでも申請できますか?
A. 原則的に在留資格が何かは求められなくなっています。
観光ビザ(短期滞在)での申請も可能ですが、頻繁な渡航歴と信頼性の証明が必要になると思います。
Q2. 申請からカード交付までの期間は?
A. 通常は1〜2か月程度と言われています。
繁忙期や書類不備があると遅れることもあります。
いずれにせよ、早めに動いていく方がいいと思います。
Q3. 更新はどうすればいいですか?
A. 有効期限が切れる前に再度申請手続きが必要です。
有効期限には十分注意して、早めの対応をおすすめします。
Q4. 空港以外での受け取りは可能ですか?
A. 原則として指定空港等での受け取りが必要です。