【入管小噺】短期滞在中に日本で就職できるのか?

「観光中に日本で就職ってできるの?」

「どんな手続きをすればいいの?」

「そのときの注意点は、どんなもの?」

時々、シンガポールやアメリカ、韓国の方などで、

既に短期滞在で日本に滞在していて、それから就労ビザを取る、という人々がいます。

これらの国々は、日本と相互の査証の免除をしており、

いわば短期滞在だけならば特別な手続なしで日本に来ることができます。

それゆえ、先に日本に来てみて、それから就職先も見つかったし、

「じゃあ、在留資格を手に入れよう(実際には短期滞在⇒就労系資格への変更)」

というパターンが結構あるのです。

今回は、そんな、短期滞在で日本にいながら就職できるのか、ということについてコラムを書いていきます。

まずは短期滞在とはどのようなビザか

前提となる短期滞在について書いていきます。

この短期滞在は基本的に、観光や誰かに会いにきたり、短期的な商談などで使われるものとなっています。

やはり一番多いのは、観光でしょう。

期限は長くて90日(約3ヵ月)しかありません。

短期滞在の特徴をまとめた図

項目内容
目的観光、保養、スポーツ、親族・知人訪問、見学、講習会・会議等への参加、業務連絡など、比較的短期間の滞在を必要とする活動
在留期間90日、30日、15日のいずれか。国籍や個別の状況によって決定されます。
就労の可否原則として不可。報酬を得る活動は認められません。
収入源日本国外からの資金が原則。日本国内での収入は基本的に認められません。
申請に必要なものパスポート、ビザ申請書、写真、渡航目的を証明する書類(例:航空券、宿泊予約確認書、招聘状など)、場合によっては追加書類
申請場所日本国外にある日本大使館または総領事館
更新・変更原則として不可。特別な事情がない限り、日本国内での在留期間の更新や他の在留資格への変更は認められません。一度出国する必要があります。
その他国籍によってはビザ免除措置があり、短期滞在ビザの申請が不要な場合があります。また、入国審査時に指紋採取と顔写真撮影が行われます。

ビザ免除の場合の短期滞在

中国やロシアなどはビザ免除とはなっていませんが、地域問わず多くの国との間ではビザ免除が結ばれています。

ビザ免除の対象となる国は、外務省のホームページで確認するのが一番です。

このビザ免除国に該当し、その国のパスポートで日本に来る場合、短期滞在ならば特別な手続きがほとんどいらなくなります。

ですから、日本に観光に来るのが容易になる、ということです。

詳しくはこちら:外務省 ビザ免除国

こちらも読みたい:ビザと在留資格、何が違う?

観光(短期滞在)中に日本で就職はできるのか

ビザ免除国の場合、日本に来るのは簡単です。

日本で観光していたら、仲の良い日本人ができて、その日本人の下で働くことになった、

たくさんの人がいるとこういったことも起こります。

しかし、この場合、通常のビザ申請とは別の問題が生じます。

原則的に就労ビザ取得は海外にいるとき

本来就労ビザの取得は海外から外国人を呼び寄せるときのものです。

ですから、次のようなプロセスが一般的です。

  1. 外国人と日本企業(又は団体)が雇用契約
  2. 外国人が就労ビザを取得するため、在留資格認定証明書交付申請をする
  3. 外国人がその在留資格認定証明書をもとに本国で日本の査証をもらう
  4. 日本に入国し、契約を交わした企業で仕事をスタート

留学生を雇う場合は在留資格変更を申請する

日本にいる外国人を雇う場合、たとえば留学生を日本企業が雇う場合は、

在留資格の変更を申請していくことになります(留学ビザ ⇒ ぎじんこくビザ等)。

しかし、短期滞在はこれとはまったく別のやり方になります。

本来、短期滞在から就労ビザというものは想定されていないからです。

日本に短期滞在中に在留資格認定証明書を取る

短期滞在の場合は、日本にいる間に在留資格認定証明書を取得し、

それをもとに在留資格の変更をしていくことになります。

これは特例的な措置であり、本当はいったん本国に帰ってから申請するのが本筋です。

短期滞在中に就職する際の注意点

それではここからこの手続きにかかる注意点を書いていきます。

定められた期限内に変更まで申請するように

たまにある勘違いですが、「在留資格認定証明書」の交付申請を短期滞在の期間内に行えばいいと思っている人がいます。

これは明確に違います。

最大90日の期限が切れる前に在留資格変更許可申請をしなければなりません。

変更の申請をすれば、そこから特例期間として原則的に審査結果が出るまで適法に日本に滞在することができます。

短期滞在の場合、短い期間で在留資格認定証明書の取得 ⇒ 在留資格変更許可申請までもっていく必要があるため、時間には十分注意しましょう。

期間が90日の場合のみ利用可能

15日や30日のような短い期間が与えられている場合、この手続きを利用することができません。

そもそも実務的にも90日でないと、上に書いた手続きを遂行するのは現実的ではありません。

自身の期間が90日でなければ、一旦、帰ってからにしましょう。

あくまでも特例的な措置であり、基盤は弱い

このやり方は、「また日本に来るのにわざわざ帰るのも大変だろう」という事情を考慮したものです。

例外的な手続であることは変わりません。

ですので、通常のやり方よりもさらに、「許可されない可能性がある」ということをあらかじめ意識した方がいいかもしれませんね。

観光中に日本で働くことになったら?

日本に観光に来て、楽しかったし魅力を感じている中、

日本の会社で働くことを誘われた。

それはチャンスかもしれませんが、手続き的にはかなりスケジュール上厳しいものになります。

特に在留資格認定証明書交付申請に関しては、ほんのちょっとしたミスが申請全体を遅らせ、

結果として一度帰国しないといけなくなるかもしれません。

確実に、なるべく早く、申請手続きを行っていく必要があります。

もし必要だと思ったら、専門家とお話してみましょう。

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