
「特別高度人材(J-SKIP)って何?」
「高度専門職とは何が違うの?」
「どうすれば取得できるのだろう?」
ご無沙汰しております。行政書士の鈴木です。
労働人口の減少が危ぶまれる日本。
人口問題解決や経済の活性化、地方の過疎化、今の日本が抱える問題は多々あります。
その結果、日本政府はハイレベルな外国人材を求めています。
(スタートアップビザもその流れのひとつです)
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実はその流れの中に「特別高度人材(J-SKIP)」というものがあります。
今回は、2023年に新たに創設された在留資格関連の注目制度「特別高度人材(J-SKIP)」について、わかりやすく解説していきます。
特別高度人材(J-SKIP)とは?
J-SKIP(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)は、
特に優秀な外国人材に対して「高度専門職」の在留資格を優遇的に与える新しい制度です。
詳しくはこちら:出入国在留管理庁 特別高度人材制度(J-SKIP)
スキップをする?制度
2023年4月に始まったばかりの制度で、
日本が世界のトップレベルの人材を積極的に受け入れるために導入されました。
博士号を持っていたり、収入が高い方に対して、すぐさま高度専門職の資格を与えます。
細かなポイント計算もなくいきなり最上級のおもてなしを受けることができる、という制度になります。
名前の通り「スキップ」をする制度内容?となっています。
特別高度人材(J-SKIP)の主なメリット
基本的には特別高度人材は、そのメリットのために申請するものです。
それでは、一例となりますが、そのメリットを確認してみましょう。
- 高度専門職の在留資格を即時付与
- 在留期間は最長5年 → 無期限の取得も可能
- 配偶者の就労制限なし
- 親や家事使用人の帯同も可能(年収3,000万以上ならば家事使用人は2人まで帯同可)
- 永住許可が最短1年で可能に(高度専門職2号相当のポイントがあると証明できる場合)
- 空港でのプライオリティーレーン(優先のレーン)が使用可能に
- 申請手続きにおいて優先的に処理してもらえる
高度専門職にプラスアルファで優遇措置があるという感じになっています。
また、これまでの高度専門職における「ポイント制」とは異なり、
明確な基準を満たしていれば即座に高度専門職として認められるのが大きな特徴です。
つまり、手続き上の優遇措置も受けられるのです。
シンプルな基準で優遇措置が即座に受けられる、というのが強みになります。
特別高度人材(J-SKIP)の対象となる人は?
J-SKIPには高度専門職と同じく3つのタイプ(類型)があります。
それぞれに該当する基準が異なりますので、ここで確認していきましょう。
特別高度人材(J-SKIP)の類型と主な要件
類型 | 対象 | 要件 | 在留資格 |
① 高度専門職(イ) | 研究機関や大学の研究者等(教授や研究者) | 博士号以上の学位(または職歴10年以上) + 年収2,000万円以上 | 高度専門職1号(イ) |
② 高度専門職(ロ) | 企業等で勤務するエリート専門職 | 博士号以上の学位(または職歴10年以上) + 年収2,000万円以上 | 高度専門職1号(ロ) |
③ 高度専門職(ハ) | 経営者や企業役員等 | 職歴5年以上 + 年収4,000万以上 | 高度専門職1号(ハ) |
ポイント制度のような「合計点数の計算」は不要です。
先ほど述べたように、学位や年収などの基準を満たしていれば、それだけでOKです。
ですから非常にシンプルな条件で、日本に来ることができます。
1年以上活動を行うと高度専門職2号へ
また、特別高度人材として1年以上活動を行い日本に滞在していると、高度専門職2号に移行することができます。
またここも特徴なのですが、高度専門職2号になってから1年たっていなくても、
2号相当のポイントが証明できれば入国から1年で永住権を取得することができます。
つまり「1号⇒2号になるのに1年」+「2号になってから1年」で、永住権取得までに計2年かかるかと思いきや、
普通に最初から条件さえ整っていれば1年で取得できるということです。
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特別高度人材と通常の高度人材の違いは?そしてその手続きは?
よくある質問として、以下のものがあります、
Q:ポイント制の高度人材と、J-SKIPのどちらが有利ですか?
それに対しての答えは、以下となるでしょう。
A:どちらが有利かは申請者の状況によりますが、年収や学歴が突出している方にはJ-SKIPの方が圧倒的にスムーズです。
それではそれを確認するため、比較をしてみましょう。
J-SKIPと従来の高度人材ポイント制度には、以下のような違いがあります。
比較表:J-SKIPと通常の高度人材制度
項目 | 通常の高度人材(高度専門職) | 特別高度人材(J-SKIP) |
審査方式 | ポイント制(70点以上) | 明確な基準を満たせばOK |
申請手続き | ポイント証明+審査 | 即申請可能(迅速処理) |
永住申請までの期間 | 最短1年(ポイント80点以上の場合) | 同様に最短1年 |
在留資格の扱い | 高度専門職1号 | 同左(ただし優遇措置多) |
対象 | 幅広い | 非常に優秀な人材に特化 |
J-SKIPは、「高年収かつ高度な学歴・研究実績のある人」に限定されるぶん、手続きはスムーズかつスピーディーです。
迅速なJ-SKIP取得の流れ
上の表からも明らかなように、特別高度人材のメリットは何よりもシンプルさと申請における早さです。
実際にJ-SKIPを取得するには、以下の流れで申請を進めます。
- 要件を満たしているか確認
- 在留資格認定証明書(COE)または資格変更申請
- J-SKIP基準に基づいた優先審査
- 高度専門職の在留資格が付与される(在留カード裏面欄外余白部分に「特別高度人材」と記載される)
要件もわかりやすく、申請も早く、優遇措置もありますので、
ぜひとも当てはまる稀有な方は利用してみるといいでしょう。
もちろんJ-SKIP特有の注意点もある
メリットもあればデメリットもあるのが制度です。
それは要件が明確である分だけ、状況によって要件から外れる可能性が高いということです。
たとえば、以下のようなケースが考えられます。
「転職をしたら年収が基準を下回ってしまった」
このような場合、高度特別人材への資格該当性を失ってしまいます。
所属する機関や待遇が変わった際は注意しましょう。
特別高度人材制度は、日本の「国際間エリート獲得戦略」
J-SKIPは、まさに日本の「トップ人材への猛アピール」ということになります。
それだけ、国際間での人材獲得が激化している、ということでもあります。
また現実問題、円安などの関係で日本が「魅力的でない」国になりつつある、ということもあります。
今後ますます、企業や研究機関がこの制度を活用して海外から優れた人材を迎えるケースが増えていくと予想されます。
もしも「自社に該当しそうな外国人がいる」「制度を使って採用したい」などお考えでしたら、
行政書士にご相談いただければ、適用の可否や申請書類のサポートをさせていただきます。