在留資格「研修」とは?実務研修もしていいのか?

「研修ってどんな資格なの?」

「どんな注意点がある?」

「取得するための条件は?」

在留資格にも様々なものがあります。

外国人が日本に来る目的は様々であり、中には留学のようにただ単に日本に学びに来る資格も存在します。

今回はそんな学びに来る資格の中から、「研修」にピックアップしていきます。

在留資格「研修」とは?

在留資格「研修」は、外国人が日本において一定期間、技術や技能、知識を習得することを目的とした在留資格です。

日本で通常使われている研修とほぼ同じ意味

具体的には、日本の企業や公的機関で実施される研修プログラムに参加し、日本の技術やノウハウを学び、将来、自国でその知識や技術を活用することを目指しています。

日本で一般的に使われている「研修」とほぼ同じ内容ですね。

技能実習とは明らかに違う点がある

日本の技術やノウハウを学ぶ、という目的は技能実習ともかぶっています。

しかし、研修の場合は明らかに違う点があります。

それは「労働はしない」ということです。

技能実習の場合は働くことで学ぶ制度ですが、研修はどちらかといえば座学や簡易的な体験といった感じです。

  • 研修   ⇒ 労働はしない
  • 技能実習 ⇒ 労働前提の資格
区分研修技能実習
目的日本の技術・知識を習得し、自国で活かす日本の産業で必要な技能を習得し、自国に持ち帰る
対象機関主に公的機関、一部の民間企業主に民間企業
研修内容座学や実習中心の非実務研修、一部の公的機関による実務研修現場での実習が中心であり、通常の労働と変わらない
雇用契約不要必要

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研修ビザの特徴

研修ビザには以下のような特徴があります。

無報酬

研修は労働ではありません。

ですから無報酬が原則となります。

ただし、それだとせっかく来てくれた研修生が大変ですので、生活費などは研修の手当として支給することはできます。

実務研修の制限

民間企業の場合、原則として実務研修は行えません。

公的機関が行う研修については、実務を伴う研修が認められる場合があります。

実務研修という形で不当な労務提供をさせるなどのことが、起こりえるからです。

資格外活動の禁止

研修生は、原則として資格外活動(アルバイトなど)を行うことができません。

これは留学とは決定的に違う部分となります。

(留学生は資格外活動許可を取っていればアルバイトが認められます)

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家族の帯同も不可

研修に家族を連れてくることはできません。

どうしても家族と会いたいなら、家族は短期滞在ビザで日本に来ることになります。

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滞在期間

研修期間は、3か月、6か月、1年のいずれかとなります。

研修ビザの取得要件

研修ビザを取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

実務研修をしない場合(民間企業)

① 作業内容研修生が修得しようとする技能等が、同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと。
② 年齢及び研修の目的研修生が18歳以上であり、かつ、国籍又は住所を有する国に帰国後、日本において修得した技能を要する業務に従事することが予定されていること。
③ 研修の必然性研修生が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技能等を修得しようとすること。
④ 指導者の適正性研修生を受け入れる日本の機関の常勤職員で、習得しようとする技能等について5年以上の経験を有する者の指導の下に研修が行われること。
⑤ 旅費負担受入れ機関又はあっせん機関が、研修生の帰国旅費などの確保をしていること。
⑥ 資料の保存受入れ機関が研修の実施状況に係る書類を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、当該研修の終了の日から1年以上保存することとされていること。

実務研修がある場合(公共機関)

実務研修がある場合、上に追加で、以下の要件が求められます。

このいずれかに該当していればよいということになります。

(どの公共機関の研修を受けるか、という話になります)

① 公共団体の研修研修生が、日本の国や地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実施する研修を受ける場合。
② 国際観光振興機関の事業研修生が独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修を受ける場合。
③ 国際協力機構の事業研修生が独立行政法人国際協力機構の事業として行われる研修を受ける場合。
④ 石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発技術センターの事業研修生が独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発技術センターの事業として行われる研修を受ける場合。
⑤ 国際機関の事業研修生が国際機関の事業として行われる研修を受ける場合。

意外と考えることが多い在留資格「研修」

在留資格「研修」は、外国人が日本の技術や知識を習得し、自国の発展に貢献するための制度です。

しかし、無報酬であったり、自由な行動が制限されたりするなど、デメリットも存在します。

研修ビザを検討する際には、その注意点や要件なども把握し、慎重に判断することが重要です。

もし必要ならば、いつでも行政書士にご相談ください。

詳しくはこちら:出入国在留管理庁 在留資格「研修」

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