アポスティーユ(apostille)って具体的にどんなもの?

「アポスティーユってどんなもの?」

「どんなときに問題になるの?」

「なにか注意点はあるの?」

国際化が進む中で、海外での手続きに関わる書類を用意する機会が増えています。

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その際、しばしば耳にするのが「アポスティーユ」という言葉。

ですが、「アポスティーユって何?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、アポスティーユについて分かりやすく解説します。

アポスティーユとは?

概要を説明しようと思います。

アポスティーユ=apostille(証明文)

アポスティーユとは、「apostille」と書くフランス語で、言葉としては証明文という意味になります。

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公文書が本物であることを証明する

海外で公文書を使う際に、その書類が本物であることを証明するための認証手続きです。

たとえば、日本の役所や公証人が発行した書類を外国の機関に提出するとき、その書類が正当なものであると保証する仕組みが必要になります。

その保証を「アポスティーユ認証」が果たしてくれるのです。

また、証明してくれるのは外務省となります。

求められたときに必要となる

基本的にアポスティーユは海外に書類を提出する際、相手国から求められたときに必要になります。

つまりいつも必要であるわけではありません。

アポスティーユが必要な場面

アポスティーユは、以下のような場面で必要になることが多いです。

海外での結婚手続

海外で結婚をする際に、日本の戸籍謄本などを求められることがあります。

そういった際に必要になります。

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海外での就労ビザ申請

海外で働く場合に学歴を証明する必要が出てくることもあります。

その場合にも、卒業証明書などにアポスティーユを付けることが多いです。

ただ、一般的に私立大学の卒業証明書は私文書となってしまいますので、公証役場で認証を受けなければなりません。

在職証明書なども同じになります。

事業の海外進出

海外にまで事業を広げようとして、海外に支店を置く際にも海外での登記が必要になります。

その際に定款などの文書が求められることがあります。

アポスティーユの取得方法

アポスティーユは、ハーグ条約(正式名称:海外文書の認証を不要とする条約)に加盟している国間で使用されます。

つまり、「私たちはめんどうな手続きはやめましょう」とお互い約束した国々です。

(西欧諸国、韓国、アメリカやカナダ等多くの国が加盟しています。中国は非加盟国ですので注意が必要です)

日本でアポスティーユを取得する手続きは以下の通りです。

書類を準備

アポスティーユを取得したい書類を用意します。

たとえば、戸籍謄本や公証役場で作成した書類などです。

特に契約書などの私文書である場合は、そのままでは認証を受けることはできません。

公正証書(公証人が作成した公的な文書)にしてから認証を受ける必要があります。

外務省の窓口または郵送で申請

書類を外務省に提出します。

窓口での申請も可能ですが、郵送での対応も行っています。

認証された書類を受け取る

外務省が発行するアポスティーユ付きの書類を受け取れば完了です。

それほど手続き的には難しくはありませんが、場合によっては時間がかかることもありますから、そこは注意しましょう。

注意点

アポスティーユに関してはいくつか注意点があります。

確認していきましょう。

ハーグ条約に加盟していない国ではアポスティーユは無効

加盟していない国では「領事認証」という別の手続きが必要になります。

いわゆる公印確認というものです。

ハーグ条約に加盟していても領事認証が求められることがある

ハーグ条約に加盟していても公印確認を求められることがあります。

アポスティーユで大丈夫だ、と安易に考えず、事前に相手国の大使館や領事館にきちんと確認をしましょう。

ここで、公印確認とアポスティーユの違いをまとめていきましょう。

項目公印確認アポスティーユ
対象となる国ハーグ条約未加入国(加入国でも使われる時有)ハーグ条約加入国
手続き外務省での証明後、提出先の国の日本大使館・総領事館での領事認証が必要外務省での証明のみで完了
目的日本の公文書が日本政府によって発行されたものであることを証明日本の公文書が日本政府によって発行されたものであることを証明し、かつ、その証明が世界的に通用することを保証
メリット対象国が幅広い手続きが簡略化され、時間が短縮される
デメリット手続きに時間がかかる、費用がかかるハーグ条約未加入国には適用できない

書類の正確性

提出先の国や機関が要求する書類内容に間違いがないか事前に確認しましょう。

なぜなら、アポスティーユは書類が公的であることの証明であり、書類内容が適正であることの証明とはならないからです。

アポスティーユが必要になることは意外と多い

アポスティーユは、国際的な手続きで欠かせない重要な認証制度です。

不正を防ぐため、公的な認証が必要になってしまうからです。

一見難しそうに思えますが、手順を把握すればそれほど取得は難しくありません。

もし「手続きが複雑そう」と感じる場合は、行政書士などの専門家に相談するのもおすすめです。

あなたの国際手続きをスムーズに進めるために、必要な際はいつでも、弊所にご連絡ください。

詳しくはこちら:外務省 公印確認・アポスティーユとは

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