
「外国人って治安を悪化させていないの?」
「なぜそのように思えるのだろう?」
「日本の、今後の展望は?」
現在日本では外国人の受入が加速しています。
いよいよ大変になる労働人口不足により、それはますます加速していくだろうと思われます。
とはいえ、いいことばかりではありません。
巷では、外国人の受入によって治安が劇的に悪化する、ともささやかれています。
今回はそんな、外国人と治安の問題について書いていこうと思います。
データで見る外国人材と治安
大切なのは感覚ではなく「実際にどうなのか」です。
それを把握していきましょう。
データと考察【図解】
項目 | データ | 考察 |
---|---|---|
外国人住民数と犯罪発生率 | 多くの国で、外国人住民数の増加と犯罪発生率の増加は必ずしも比例しないことが統計的に示されています。 実は日本でも、外国人の犯罪率は5%しかないされています。 | 外国人住民の増加が、単純に犯罪増加につながるとは言い切れません。 |
犯罪の種類別内訳 | 外国人による犯罪の多くは、単純窃盗や不法滞在など、生活のために犯されるケースが多い傾向にあります。 強盗や殺人などの凶悪犯罪は1%以下です。 | 外国人による犯罪は、必ずしも凶悪犯罪が多いわけではありません。 |
国籍別犯罪発生率 | 特定の国籍の犯罪発生率が高いというデータはありません。 ただ、ベトナム人技能実習生の犯罪が多い、というデータがあります。 | 犯罪は、個人の背景や置かれた状況によって起こるものであり、国籍が全てを説明するわけではありません。 |
日本における状況 | 日本の犯罪統計においても、外国人住民数の増加と犯罪発生率の間に明確な相関関係は確認されていません。 | 日本においても、外国人材の増加が治安悪化に直結するといった状況は見られません。 |
実際は外国人の増加が治安の悪化を招くわけでもない
日本の入管が有能であることも理由の一つであると言えますが、
外国人の増加=治安の悪化、と単純に言うのは実状にそぐわないということになります。
なぜ「治安が悪化する」という誤解が生まれるのか?
こうして見てみると特段外国人が治安を悪化させる原因になっているわけではありません。
しかし、イメージとしては外国人が治安を悪化させるものだと言われています。
マスコミ報道やSNS
特定の事件が大きく報道されることで、外国人犯罪のイメージが過度に拡大されることがあります。
特に現在では埼玉県川口市のクルド人問題などがあり、より一層そのイメージが強くなっています。
また、「政府が外国人を受け入れるために外国人の犯罪を不起訴にする」といった主張が一部SNSでも拡散されています。
マスコミ、そしてSNSなどの情報媒体によって一部例外的な状況があたかも外国人全般のことであるように思えてしまう、という極めて現代的な要因がありますね。
これを「エコーチェンバー現象」と言います。
文化的背景
日本は歴史的に見ても稀なほど、あまり外国人と共生することなく暮らしてきた国です。
鎖国はその象徴でしたし、現在の入管法もその文化的な背景が根強いです。
すなわち、「外国人は特別に許可した人のみ、日本に入れる」といった思想です。
ですからどうしても、日本人には外国人に対する偏見があります。
「不真面目、だらしない、危険」といったネガティブな偏見があるのも事実です。
外国人に対する根強い偏見や差別が、こうした誤解を助長している可能性があります。
それぞれの人の経済状況
経済格差や貧困など、社会構造的な問題が犯罪発生に影響を与えることがあります。
外国人は日本においてはマイノリティですし、限られた範囲でしか活動ができません。
そのため必然的に弱い立場に置かれることがあります。
実はベトナム人技能実習生の犯罪が多い、というデータもありますが、
ベトナム人の場合は日本に来る際に平均で70万近くの借金をして来ます。
これは他の国よりも多い数字になっていて、なおかつ技能実習の仕事というのはそれほど給料が高くありません。
肉体労働できつい場合もあります。
そういった要因が絡まって単純窃盗などの犯罪になる、ということだと思います。
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日本人もあまり余裕がない
個人的にはこれは大きいと思っているのですが、「もはや日本人にもあまり余裕がない」という雰囲気を感じます。
たとえば、私が外国人材や機械化の話をしていると、次のように言われることがあります。
「それは日本人の仕事を奪うことになりませんか?」
確かにそうかもしれません。
ただ、前提として「働こうとする日本人がもういなくなっている」のです。
もしかしたら今日本にいる無職や主婦の人たちが働ければ、労働人口減少が緩和されるかもしれません。
しかし残念ながら、実際に働かない人は働きません。
そして、人口構造的にも子供は少なく、高齢者は多くなっていき、子を育てる世代が少なくなることから、これはますます加速していくと思われます。
私が思うのは、色々言っても、どのみち人手が足りない又は足りなくなる現実は変わらない、ということです。
そして人手が足りなければ、生産も消費も下がっていき、結果として日本という国は「弱い国」になってしまいます。
外国人材の受入は慎重にやっていきましょう
様々なデータから、外国人材の受け入れが必ずしも治安の悪化につながるとは言い切れないことが分かります。
そして、犯罪は社会全体の問題であり、外国人だけに責任を転嫁することは適切ではありません。
日本は日本でまだ外国人と共生するためにすべきことがたくさんあります。
これからの我々は
外国人材の受け入れは、日本社会の持続的な発展のために不可欠な要素となりえます。
多様な人材が共存できる社会の実現に向けて、私たちは、以下の点を意識してみてはどうでしょうか。
- 偏見や感情論ではなく、客観的なデータに基づいて議論を進める。
- 外国人に対する理解を深め、共生社会の実現に向けて努力する。
- 外国人労働者が安心して暮らせるような環境を整える。
いわば、「理解と調和」を広げていく必要がありますね。
外国人サポートは弊所に
外国人材の受入と治安の悪化は、単純な因果関係で結びつけることはできません。
データに基づいた冷静な分析と、多文化共生社会の実現に向けた取り組みが求められています。
その一環として、弊所をご利用いただければさいわいです。
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