
「永住許可の要件は?」
「要件における注意点は?」
「どれくらい時間がかかる?」
日本での永住許可を取得することは、将来の安定した生活基盤を築くための重要な一歩です。
このコラムでは、永住許可取得の要件について解説します。
永住許可は他の在留資格と何が違うのか
永住許可は在留資格の中では一番難しいとされています。
具体的にはどのような特権があるのでしょうか。
就労制限がなくなる
永住許可を取得すると他の就労系在留資格であるような仕事の制限がなくなります。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」はいわゆるホワイトカラー業務に就く資格です。
ですから自分で起業をするとなると、当然別の資格に変更しなければなりません。
永住者となると別に就職していても、自分で事業を興しても、活動は何でもよくなります。
更新や変更が不要となる
通常の在留資格では更新があり、これが地味に大変です。
また、別の活動をする際には在留資格の変更も必要です。
永住者になると、これらの煩雑な手続きが不要になります。
(永住者よりも優遇されている資格はないため、実務上変更する必要がありません。あえて言うのなら、帰化はありえるかもしれません)
永住許可の要件判断
まず、永住許可を申請するためには、以下の基本的な要件を満たしている必要があります。
- 素行善良要件
- 独立生計要件
- 国益適合要件
それぞれ、内容を確認していきましょう。
素行善良要件
こちらは要するに「ちゃんとルールを守って暮らしていますか」ということになります。
法令違反がないか、ということが最大の焦点となります。
軽微な違反なら見逃してもらえる可能性がありますが、過去に違反があった時点でやはり審査は厳しくなるでしょう。
別に高い道徳心や文化的に日本になじんでいる等のことを指しているわけではありません。
独立生計要件
実は永住者の方々は、生活保護を受けることができます。
(就労系の資格では無理です)
しかし、永住者がみな生活保護を受けていたら、我々日本人としては「さすがにそれは…」となると思います。
ですから、「しっかりと収入(あるいは資産)があり、お世話にならずに自立していけますか」という要件が存在するのです。
実務上、4人家族なら年収400万くらいが目安となります。
こちらもその時々のケースに合わせて変わりますので、状況に合わせて判断したいですね。
配偶者にも収入があるなどすれば、そちらも考慮されることもあります。
国益適合要件
非常にわかりにくいのがこちらの要件です。
「国益」とは何を指しているのか、私にもよくわかりませんでした。笑
具体的には以下の点が見られます。
- 10年以上継続して日本に居住していること。
- 公的義務(納税等)を果たしていること。
- 現在持っているビザが最長期間(基本的には5年であること)。
特に10年の方は「継続して」というわけですから、途中で帰国して母国に住む、なんてことがあってはだめだということです。
身元保証人も必要
永住許可には身元保証人が必要です。
基本的にはそれほどの責任を負うわけではなく、「この人のことは任せてください」という道義上の責任となります。
なってくれる友人を探しましょう。
永住許可における特例
原則的な期間は「日本に引き続き10年居住」ということですが、それぞれの資格ごとに優遇措置があります。
日本人又は永住者の配偶者等
日本人や永住者の配偶者や実子である場合、法的な保護が強まります。
「婚姻生活が3年」+「日本の居住期間が1年」で永住資格を取得できるようになります。
定住者、難民認定者、日本に貢献した人は5年
共に相応の理由が認められた時に与えられる資格ですが、こちらは居住要件が5年となります。
この日本に貢献というのはたとえば大学の名誉教授などが当てはまります。
そういった事情が認められた場合、居住要件が10年から5年に緩和されるのです。
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高度専門職
高度専門職は優れた技能や知識を持つことがポイント制度によって証明された人々です。
知人の大学教授は高度専門職でした。
70点 ⇒ 3年
80点 ⇒ 1年
という具合に居住要件が緩和されます。
1年で取得できるのは、相当早いですね。
在留資格 | 日本に居住する年数 |
配偶者等 | 1年 |
定住者、難民等 | 5年 |
高度専門職(70点) | 3年 |
高度専門職(80点) | 1年 |
永住許可取得の期間
永住許可を取得するのには時間がかかります。
準備~取得で1年以上かかることも
永住許可取得のプロセス全体で約6か月〜1年半程度が必要です。
ただし、書類の準備状況や審査の進捗状況によってはさらに長くなる場合があります。
審査期間が特に長い
永住許可を申請するときのそれぞれの資格ごとに違いますが、申請者が高度専門職などで長い場合だと審査期間のみで400日を超えることがあります。
審査期間のみで1年を優に超えてしまっている、という現状になります。
永住許可を考えたら、早めに申請した方がいいですね…。
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永住許可は辛抱強く
永住許可の取得は長いプロセスです。
まずは要件を判断して、自分は永住許可が取れるかを確認していきましょう。
必要書類もそれぞれの状況ごとに異なりますし、手続きとしては大変です。
書類の不備を防ぐため、行政書士など専門家のサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
ご自身の状況に合った具体的なアドバイスが必要な方は、ぜひお気軽にご相談ください!
詳しくはこちらは:出入国在留管理庁 永住許可申請