「企業内転勤」とは?日本に転勤するのなら

「企業内転勤ってどういう在留資格?」

「どんな条件があるの?」

「注意点を教えてほしい」

在留資格「企業内転勤」というものがあります。

外国の企業に雇用されている社員が、

同じ企業またはその関連会社の日本拠点で一定期間勤務する場合に適用される在留資格です。

要するに、日本営業所などに赴任するケースですね。

そんな「企業内転勤」について、今回は書いていこうと思います。

「企業内転勤」の具体的内容

それではその企業内転勤の具体的な内容はどのようなものなのでしょうか。

基本的にはマネジメントや専門職の方向け

主に「技術・人文知識・国際業務」に該当する外国人社員を対象としています。

上の在留資格は、イメージとしては以下のような感じです。

  • 技術 ⇨ エンジニア(理系ホワイトカラー)
  • 人文知識 ⇨ マネジメント職やマッケッター(文系ホワイトカラー)
  • 国際業務 ⇨ 通訳(その国出身であることが重要な業務)

こちらも読みたい:「技術・人文知識・国際業務」とは

企業内転勤の例

たとえば日本にはスズキやトヨタのような世界的に影響力のある企業があります。

インドで生まれたインド人が工学を学び現地のトヨタに就職し、後に必要となり日本に呼ばれるケース等が例としてはあります。

「企業内転勤」に該当する条件

具体的には、以下の条件を満たす場合に該当します。

同じ企業の系列間での転勤

転勤前の外国拠点と日本の受入れ拠点が同じ系列の企業である必要があります。

同一の法人、または子会社などの関連性があること。

在職期間

日本へ転勤する前に、外国の本社または関連会社で1年以上継続して勤務していること。

つまり入社してすぐに日本へ、という場合には適用されません。

業務内容

「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事すること。

先程も説明したように、これにはエンジニア、マーケティング、翻訳業務などが含まれます。

大卒の人がつくような仕事ということです。

日本では原則、外国人の単純労働は認められてません。

特定技能が単純労働か否かは微妙ですが、それにしても一定の技術水準が必要です。

適正な報酬額

他の在留資格と同じように報酬額が適正である必要があります。

適正とはこの場合、「同じような業務をする日本人と同等以上」の報酬額ということです。

実務上は月20万以上といった感じでしょうか。

「企業内転勤」の注意点

「企業内転勤」の在留資格申請においては、いくつかの重要なポイントがあります。

以下、注意点を挙げていきます。

事前準備が重要

申請人の経歴書、

日本企業との雇用契約を示すものや転勤命令書、

日本での業務内容を説明するもの、

など多くの書類が必要です。

これらの書類が不十分な場合、申請が認められない可能性があります。

受入れ企業の体制

日本の受入れ企業が適切な体制を整えていない場合、審査で不利になることがあります。

具体的には、企業の財務状況や外国人社員の管理体制が問題視されることがあります。

特に規模の大きくない会社である場合には、それだけ多くの説明が必要になります。

資格を与えたのにすぐに倒産してしまったら意味がないですから、会社の強さもある程度は信頼の指標となります。

家族の同行

「企業内転勤」では、本人が帯同家族の在留資格(例:家族滞在)を申請するケースが多いです。

家族のビザ申請も同時に計画する必要があります。

こちらはこちらで独特の大変さがありますし、複数の申請は骨が折れます。

また、「家族滞在」では就労は原則禁止されていますので、アルバイトする際は注意しましょう。

(「資格外活動許可」というものが必要になります)

こちらも読みたい:資格外活動許可とは?

転勤期間の管理

「企業内転勤」の在留期間は通常1年、3年、または5年で許可されます。

制度上は3か月ということもあります。

延長が必要になる場合、更新申請が必要です。

更新時も、勤務実績や企業の状況が審査されます。

転勤終了後の対応

転勤が終了した場合、他の在留資格への変更が必要になることがあります。

特に、日本に引き続き居住・就労したい場合は、事前に適切な手続きを行う必要があります。

同一業種でも関連のない会社に就職する場合は新たに「技術・人文知識・国際業務」の資格が必要になります。

経営者は「企業内転勤」ではない

経営者の資格は「経営・管理」です。

それゆえに、経営者が日本拠点にて経営業務をする際は、企業内転勤ではありません。

そもそも経営者には転勤という概念があるのか、微妙ですね…。

こちらも読みたい:「経営・管理」でシェフはできるか?

これからのグローバル社会の中で

グローバル化が進む中で「企業内転勤」を利用する外国人社員もたくさん出てきました。

また「企業内転勤」とは別の「特定技能」などもあり、外国人労働者はどんどんと増えていっています。

その影響でむしろ厳しくなる審査

しかし、それと呼応するかのように、入管当局の審査基準は厳しくなっていっています。

書類の正確性や企業の体制がますます重要視されています。

特に、虚偽の申請や不適切な管理が発覚した場合、企業全体が不利益を被る可能性があるため注意が必要です。

最悪刑事罰もある、そういうお話です。

日本へと転勤することになったら、ひとまずご相談を

「企業内転勤」は、外国人社員のスムーズな日本勤務を実現するための便利な在留資格ですが、申請や更新には多くの注意点が伴います。

本当に「企業内転勤」なのか、ということが結構判断が難しかったりするのです。

企業と申請者の双方が事前にしっかりと準備を整え、正確な情報をもとに手続きを進めることが成功の鍵となります。

もし申請や手続きでお困りの際は、専門家への相談をお勧めします。

当事務所では、外国人の在留資格に関するご相談や申請代行を承っております。

お気軽にお問い合わせください。

詳しくはこちら:出入国在留管理庁 企業内転勤

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