就労ビザ「経営・管理」で料理店を開くと、シェフをできるのか?

「就労ビザってどんな注意点が?」

「日本で母国の料理店を開きたい」

「経営したら、シェフもできる?」

「経営・管理」の就労ビザで日本に滞在している人の中に、飲食店を開く方もいると思います。

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たとえば、タイ料理店を自分で開きたい、という方がいます。

日本人の場合、料理店を開き、自分で調理をするという形も多いと思います(個人事業主として)。

しかし、外国人の場合は多少事情が異なります。

外国人経営者はシェフも兼任できるか?

たとえば、このような疑問が生じます。

いったいどうなのでしょうか。

就労ビザの性質

就労ビザの性質として、「当該ビザで定められたことしかできない」ということがあります。

経営者としてきたのなら経営をする、エンジニアとしてきたのならエンジニアをする。

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これが大原則です。

結論:就労ビザ「経営・管理」でシェフはできない

「経営・管理」の在留資格は、日本で事業を経営・管理するための資格です。

料理店を開業する場合も同様で、店全体の運営、つまりメニューの企画、食材の仕入れ、従業員の管理など、経営に関する業務に携わることを想定しています。

現場でずっと料理をしている、というのは経営とはまた違う作業です。

就労ビザはやることに注意!

在留資格は、気をつかうことが非常に多いです。

就労ビザ資格の趣旨を必ず把握する

さきほども話したように「経営・管理」の資格は、あくまでも経営者としての活動が中心です。

調理は、従業員に任せるべき業務とされています。

それは他の就労ビザにしてもそうです。

その資格が何を目的として定めているのか、精査をしなければなりません。

特に「経営・管理」は解釈によってはどんな現場作業も当てはまりそうです。

入管法が念頭にしているのは「オーナーやマネージャー」だということは押さえておきましょう。

こちらも読みたい:経営・管理を取得する際の注意点

入管法違反の可能性

そのため経営・管理の資格で調理を常に行っていると、入管法違反とみなされる可能性があります。

ペナルティもあり、後々の権利が制限されることもありますのでリスクが非常に高い行為です。

例外はあるのか?

ただ、やはり今までの話は原則です。

原則ということは例外もあります。

以下、例外を列挙します。

  • 一時的な調理 特別なイベントや、従業員の急な欠勤など、やむを得ない場合は、一時的に調理を行うことが認められる可能性有。
  • オーナーシェフとしての活動 経営活動の一環として、メニュー開発やお客様へのサービスの一環として調理を行うことは認められる可能性有。

つまり経営をする一環としての一時的な調理ならば問題がないということです。

問題はずっとシェフをやっている場合、ということです。

就労ビザごとにしっかりと趣旨を考えて行動しよう

「経営・管理」の資格で料理店を開業する場合、シェフとしての本格的な調理は原則として認められません。

オーナーまたはマネージャーとして、店全体の運営に携わる必要があります。

「経営・管理」ビザにはそもそもある程度事業規模が必要

そもそも、「経営・管理」を取得するには、

目安として資金500万 or 従業員2人以上雇っている

という事業の規模が必要です。

そのくらいの規模の事業ならば、自分が調理人になる必要もあまりありません。

日本人ならば、個人事業で小さな喫茶店などを経営し、料理人やバリスタもすることがあります。

しかし外国人の場合、そもそも起業するのが大変なのです。

シェフは多くの場合、「技能」という資格

それならばシェフはどうするかと言えば、「技能」という資格で働くことができます。

こちらもまた特殊な資格ですので、色々な条件はあります。

とにもかくにも、資格ごとの目的を把握して、適切な就労ビザを手に入れましょう。

こちらも読みたい:在留資格「技能」とは

心配ならいつでも行政書士にご相談を

もし就労ビザで心配なことがありましたら、ぜひとも行政書士にご相談ください。

個々の案件ごとに調査は必要ですが、知識と経験(たまに人脈)を駆使して、必要な結論を導きます。

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