「在留特別許可って何が特別なの?」
「日本にいたいけど、退去をすることになった…」
「どんな事情なら、許可がおりるのだろう?」
コロナの時期を除き、日本にいる外国人の数は年々増えていっています。
これはこれからもそうなるでしょう。
しかし残念なことにオーバステイなどで退去を余儀なくされる外国人も多いです。
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けれども、実はそういった場合でも、まだ日本にいることができる場合があります。
それが本記事のテーマ「在留特別許可」ということになります。
在留特別許可とは?
それでは在留特別許可とは、どの辺がそんなに特別なのでしょう。
法務大臣の裁量による許可
在留特別許可は、退去強制手続き中に法務大臣の裁量で日本にいることを許される制度です。
これは換言すると、法務大臣が個別具体的に判断する、ということになります。
要件や条件というよりも、それぞれの事情や背景が重要視されるということです。
基本的には人道的な理由
許可がおりるのは、多くの場合人道的な理由となります。
「これさすがに、出てけ、というのは人としてどうなのよ…」
というケースですね。
在留特別許可におけるポイント
個別具体的とはいえ、やはりおおまかなポイントがあります。
以下のような要素が特に重視されます。
家族関係
配偶者や子どもが日本人、または永住者である場合は許可がおりやすいです。
家族を離れ離れにする、というのは人道的によいことではありませんからね。
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日本での生活基盤
長期間日本で生活していたり、地域社会との関係が深い等、生活基盤の安定が判断材料になります。
要するに「ちゃんとなじんで、平穏に暮らしていけそうかな」ということですね。
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健康上の問題
本人やその家族が治療が必要な病気を抱えている場合、健康面での事情も考慮されます。
病気で今すぐ入院しなきゃいけない人に「帰れ!」ということ、できますか?
(私にはできません)
素行は良好か
過去に重大な犯罪歴がないことなどが必要になります。
たとえば駐車違反で罰金刑等、軽微な犯罪の場合、それがどこまで響くかは裁量の問題となります。
しかし、たとえば殺人犯に温情(在留特別許可は温情です)で許可を出すのはさすがに…という感覚はあると思います。
社会貢献
勤務先で評価されていたり、地域活動に積極的に参加している場合など、
日本社会に良い影響を与えていることも考慮されます。
手続きの流れはどのようになる?
大まかな流れと、その注意点を書いていきます。
在留特別許可申請の流れ
それでは簡単な流れを見ていきましょう。
- 入国管理局による退去強制手続きが開始
- 本人または代理人が特別在留許可を申請
- 法務大臣が申請内容を審査し、個別の事情を考慮して許可をするかを決定
許可がおりなかったらどうする?
許可がおりなかった場合、処分性があるため裁判で争うこともできますが、
許可の性質上、「法務大臣の裁量」というのが根拠になります。
つまり、本来だったら許可を与えなくていいものに「特別に、優しさとして許可を与える」という制度です。
ですから裁判で争う際には、「明らかに法務大臣の裁量がおかしい」というケースになるでしょう。
在留特別許可における注意点
特別な制度ですから、注意点も無論いくつかあります。
正確な基準はなく、結果の予測は通常よりも難しい
何度でも繰り返しますが、当許可は法務大臣の裁量(つまりは個別の判断)となります。
ですから、今まではこれで通っていたけれど今回はだめだった、なんてこともありえます。
法的に整備された基準はないため、事情に左右されやすいのです。
書類による理由の説明が大切
提出書類には正確で具体的な情報を記載することが重要です。
また、「なぜ日本にいないといけないのか」そのWhyを相手に納得してもらわなければなりません。
申請には専門知識や経験が求められるため、不安ならば行政書士など専門家へ相談をしてみましょう。
詳しくはこちら:法務省 在留特別許可に係るガイドライン