「女同士でずっと暮らしたいのだけど、どうすればいい?」
「日本では同性婚ってだめと聞いたけど、他に手段はない?」
「パートナーシップ制度のメリット・デメリットは?」
今や世の中も多様化していますよね。
それぞれの価値をそれぞれが見出す時代になっています。
私的には、それはこれからも加速していくものだと思っています。
さて、そんな中で本日はLGBTQの方々に対し我々行政書士が何をできるかを書いていきたいと思います。
LGBTQとは? パートナーシップの説明に入る前に
まずはLGBTQについて説明をしたいと思います。
もちろん認知度が高く知っている人の方が多いとは思いますが。
L=レズビアン(lesbian)
Lは女性同士の愛情関係を指します。
G=ゲイ(gay)
Gは男性同士での愛情関係となります。
B=バイセクシャル(bisexual)
Bは女性にも男性にも恋愛感情を抱く人です。
T=トランスジェンダー(transgender)
自分の生まれ持った体としての性別と、心の性別が一致しない人のことです。
女なのだけれど、男として自認しているというようなケースです。
Q=クエスチョニング(questioning)
心の中では自分がどの性別なのかわからない、男や女とも違う、といった状態の人のことです。
LGBTQに対しての日本の制度
ヨーロッパなどの人権意識(あるいは個人主義としての感度)が高い国では、LGBTQの結婚が認められつつあります。
日本はどうなのでしょうか?
日本ではLGBTQの結婚は認められていない
日本ではまだこうしたLGBTQの方々の結婚は認められていません。
最高法規である憲法には以下の条文が存在します。
憲法24条1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
自治体レベルではパートナーシップとして認めているところが多い
ただ、結婚はできなくともで自治体レベルでは婚姻関係と同様に扱おうとしているところもあります。
私の住んでいる横浜市もそうです。
詳しくはこちら:横浜市パートナーシップ宣言制度
なんと2024年6月の段階で、459もの自治体がパートナーシップ制度を導入しています。
ですので、利用できる可能性が高いと考えていただければと思います。
LGBTQにおけるパートナーシップのメリット・デメリット
とはいえ制度があるといっても、どんなメリット及びデメリットがあるのでしょうか。
パートナーシップのメリット:やはり家族としての福祉が増えること
結婚をすると様々なメリットがありますよね。
パートナーシップで得られるメリットもやはりそれに似たものとなっています。
- 公営住宅で家族扱いされる
- 会社でも家族として扱いを受けることができる(各種手続きができる)
- 保険金の受け取りが可能になる
- 家族手当などがもらえたりする
- 携帯会社の家族割などのサービスを受けられることがある
やはり共に暮らしていくのなら家族として認められると、様々な恩恵が受けられます。
また社会的にもその方が評判はいいでしょう。
本人たちも家族として扱われて、幸せだと思います。
パートナーシップのデメリット:自治体に拘束されること
これはパートナーシップ制度自体が国ではなく自治体が行っていることなのでやむを得ないのですが、
パートナーシップを結んだら他の自治体に住所を移すのが大変になります。
パートナーシップ制度は「パートナーシップ証明書」という証明書を発行し、それによって関係を客観的に証明するのですが、それの作成にお金がかかることもあります。
もしどこかほかの自治体に引っ越したら、パートナーシップ証明書を以前の自治体に返却し、またパートナーシップ制度をそこで利用することになります。
あくまでも自治体内にいる限り、パートナーシップが証明されるということに注意しましょう。
LGBTQの合意契約は行政書士に頼んでもいいかも
たとえば渋谷区では、パートナーシップ証明書発行にあたり、その関係についてお互いの合意があるとする「合意契約書」を作成しなければなりません。
しかもそれは公証役場にいって、公正証書という書類で契約書を作成します。
他にも法律婚でない場合には、権利関係が曖昧になりがちですので、公正証書でその関係を証明することもあります。
行政書士はその契約書作成のサポートができます。
契約書ですから、やはり法的な専門家のサポートを受けると安心ですよね。
やはり事前に以下のことくらいはしっかりと決めておきたいものです。
財産をどうするか? 誰のものか?
やはり問題になるのは財産が具体的に誰のもので、どの財産までなら共有なのか、ということでしょう。
これは本当にのちのちのトラブルに発展しやすいので注意です。
家事はどうするか? 日常家事の代理権も
生活をしていると必ず家事の問題が出てきます。
多くの場合、家事は非常に厄介なものです。
どちらがどんな家事分担するか、決めておくのもいいでしょう。
また法律婚以外では「日常家事の代理権」という家事をするときに当然に代理権が生じる権利が生まれません。
ですからその代理権をお互いに付与する文言を書いてもいいでしょう。
多様化する社会こそ、契約書が大切な社会
私は常々思っています。
これだけいろんな価値観があるし、どの価値観も尊重されるべきだからこそ、契約書はこれから非常に大切になるだろうと。
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複雑な時代を迎えて
なぜなら、それは以下のようにも言い換えることができるからです。
- 表現をしなければ、自分の権利を守れない時代になっている
- ちゃんと約束をしなければ、すぐに忘れられる時代になっている
- お互いの理解が実は非常に難しい時代になっている
つまり、社会としては複雑になっていっているのです。
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増えるパートナーシップ関係、必要ならばぜひ専門家のサポートを
ですから憲法も社会に対応できなく、戸籍関連の役所ではなく法律の専門職や公証役場がその代わりに動いているということになるのです。
自分の幸せや未来に関することですから、不安ならば専門家にご相談ください。