「契約書って必要なの?」
「今までやってこれたし、これからも大丈夫だろう」
「法律は詳しくないけど、あまり要らないかも?」
中小企業やベンチャー企業、あるいは個人事業主の中にはほとんど契約書を作らない、あまり法務らしきことをしないことが結構あります。
しかしそれだと、いざトラブルになったときに困ってしまうこともあります。
契約書の意味
法務として代表的な、契約書とはそもそもなんなのでしょうか。
契約は契約書なしでも成立する
契約自体は、当事者の合意のみで成立します。
法律的に解釈すると、コンビニでレジの前にものを置けば「これを買います」という意思表示になります。
もともとコンビニは物を売ろうとしているわけですから、そこで「買う」「売る」という意思表示が一致します。
コンビニでは、わざわざ契約書なんて交わしませんよね。
なぜ契約書を作るのか
それではあえて契約書を作る理由はなんなのでしょうか。
それは、
- 「合意内容を形として残しておく」という記録としての意味
- 「トラブルになったときに証拠として使える」という証拠としての意味
主にふたつの意味があります。
法務ポイント:記録としての契約書
契約は契約書なしでも成立しますが、契約内容をずっとおぼえているのは人間ですから難しいところがあります。
報酬額を忘れる
たとえば、誰かに工事を依頼して工事完成までに時間がかかり、その人がいった工事費用が何円かわからなくなることがあります。
見積書とかがあれば別ですが、口頭で契約していた場合、訊く以外に確認しようがありません。
さらに細かな規定で税込なのか税抜なのかもわからなくなることがあります。
こうした細かなことを明確にしておく、というのが法務の重要ポイントなのは間違いありません。
特殊な取決めがゆやむやになる
たとえば「嫌がらせをやめてくれたら1万円あげる契約(そんなのが本当にあるかはおいておいて)」を交わしたあとに、相手が嫌がらせをしてきたとします。
このとき、「嫌がらせ」が一体なんなのかしっかりと定義できていなければ、相手は「そんなつもりはなかった」と言って逃げるかもしれません。
しっかりと書面で残し、客観的にする、ということが大切になります。
法務ポイント:証拠としての契約書
契約書を作る一番の理由はやはりこの証拠として残したい、ということでしょう。
契約書は「こんな契約を確かにした」という証拠になるのです。
法務が必要な理由はやはり「もしも」のためと言えるでしょう。
裁判で証拠にしたいなら公正証書もおすすめ
契約書を公正証書で作成することもできます。
これは、公証人という法律の専門家が公的なお墨付きを与えてくれた文書となります。
ほとんど公的な書類ということで、証拠能力としても格段に高くなります。
また、債務不履行の強制執行のときにも便利です。
証拠となることで安心感も生まれる
いざとなったら契約書が証拠になりますので、契約の相手方にも安心感が生まれるでしょう。
これは記録としての契約書にも言えることですが、文書にしておくことで、逆に相手が安心して契約関係を続けてくれるということがあります。
たとえば、契約書がない業務委託契約で働く場合を想像してみましょう。
よほどの信頼関係がない限り、
「本当にお金が振り込まれるのか?」
「言ったことと実際の業務内容が違ったら?」
などと不安になるのは人としてしょうがないと思います。
客観的な証拠が何もない、というのは契約相手につよいストレスを与えます。
相手のためにも契約書は作ったほうがいいと思います。
法務は外注化の時代! 専門家の助けをポイントで借りて、事業を適正に運営しよう
これから全体的に会社の規模は小さくなっていきます。
どんどんと労務や法務、あるいは総務まで、外注化が進んでいくでしょう。
資本金の最低額が撤廃され起業もしやすくなり、社長がひとりだけの会社というものもたくさんになってくると思います。
そういったベンチャーや小規模、あるいは中小企業だからこそ、契約書というものは大切です。
契約書は、契約に対して記録・証拠という側面で、信頼を付け加えるための道具だからです。
契約書を作るというのを習慣にしてみてもいいかもしれません。
こちらも確認:なぜ契約書は専門家なのか